開催レポート

「びわ湖の研究者になろうツアー〜家棟川探検隊!水と生き物を調べてみよう!〜」を実施しました

こんにちは。京都外国語大学の二葉です。

10月30日、滋賀県野洲市の家棟(やなむね)川(がわ)流域・野洲図書館ホールにて、滋賀県在住の小学生とその保護者を対象に「びわ湖の研究者になろうツアー〜家棟川探検隊!水と生き物を調べてみよう!〜」を開催しました。イベントには小学生6名、保護者4名に参加していただき、IVUSA(NPO法人国際ボランティア学生協会)8名、琵琶湖環境科学研究センター職員1名と共に、川の水の水質測定や生物・周辺環境の観察、発表会を行いました。

IVUSAは琵琶湖版のSDGsである「マザーレイクゴールズ(MLGs)」の達成も目指しており、そのゴール実現に向け「次世代を担う子どもたちが大学生と一緒に琵琶湖の環境問題を学び、考える場を作る」ことを軸に「びわ湖の研究者になろうツアー」をマザーレイクゴールズ推進委員会と滋賀県の協力のもとで企画・実施しています。

今回のイベントは、水や生きもの、私たちの暮らしとの関係性について様々な視点から考察し、人間にとって清らかな水、生き物にとって清らかな水とは何かを子どもたち自身で考え、答えを見つけてもらうことを目的としていました。

滋賀県家棟川流域で、水中のリン・窒素・COD(化学的酸素要求量)の値を調べるパックテストのほか、水温計や透視度計を利用した水質測定や生き物の観察などのフィールドワークを実施しました。

午前10時ごろ、大津駅と野洲駅2カ所にてそれぞれ受付を行いバスに乗り込み、最初の調査ポイントである家棟川河口に向かいました。調査ポイントに到着すると、子どもたちや保護者、スタッフ含め挨拶・自己紹介を行い、イベントがスタートしました。

バスでの様子

最初の調査ポイントでは、中主漁業協同組合の漁師である松沢松治さんが船を出してくださり、家棟川下流を船で移動しながら、生き物や周辺環境の観察を行いました。乗船者全員のライフジャケット着用を徹底し、安全を確保したうえで出発し、調査を実施しました。

また、水質測定の際には子どもたち自身でパックテストを行ってもらい、子どもの好奇心や知的探究心を存分に活かせるよう働きかけました。子ども達は、日常生活で味わうことのできない、船上での生き物観察や道具を用いた水質測定などの体験を楽しんでいる様子でした。

最初のポイントでの調査の様子

水質測定の際、琵琶湖環境科学研究センターの研究員である佐藤祐一さんからパックテストの説明をしていただき、また、投網も披露していただきました(滋賀県の特別採捕許可を得て実施しております)。

投網で調査

下船したあとは、滋賀県野洲市にある「あやめ荘」にて、琵琶湖を目の前に鮒寿司やビワマス・鯉の煮付けなどの湖魚料理のコースをいただきました。中々味わう機会がない湖魚料理に、琵琶湖の豊かさを感じることができました。また、料理をいただきながらIVUSAの学生側から改めてパックテストについての説明を行いました。

湖魚料理のコースをいただきました。
パックテストの結果を説明

昼食をいただいたあとは、第2の調査ポイントである家棟川の上流に向かいました。ここでも水質測定や生き物調査を行い、子どもたちに水の綺麗さやその周辺環境との関係を考えてもらいました。第1ポイントとは違う生き物も見ることができ、学びのきっかけになりました。

第3ポイントである家棟川の支流・中ノ池川でも、同じく水質と生き物の調査を行いました。このスポットでは、秋頃になると「ビワマス」という琵琶湖の固有種である魚が産卵のため遡上してくると佐藤さんから説明していただきました。残念ながらビワマスを発見することはできませんでしたが、佐藤さんの説明を聞いて、魚が産卵する場所に選ぶ水はどういった水なのかと考えてくれているお子さんもいました。

第2調査ポイント 家棟川の上流での調査の様子

全ての調査ポイントでの探索を終え、最後に野洲図書館にて子どもたちの意見交換・発表会を行いました。今回の調査を通して感じたことや気づいたことを、それぞれ模造紙や画用紙に絵や文章で表現してもらいました。

家棟川での乗船体験や調査場所によって水質が違うこと、捕まえた生き物のことなど、子どもによって感じたことや一番印象に残っていることが違っていました。子ども達の探究心や発想力を感じることが出来る発表内容に、私たち大学生も実際に自然や生き物に触れあって感じたことを自分の目線で発信することの大切さに気づくことができました。

発表資料を制作中
みんな素晴らしい発表でした!

最後に佐藤さんから今回のイベントの振り返りやこれからの琵琶湖との向き合い方などのお話を聞いた後、学生側から挨拶を行いイベントは終了しました。

今回のイベントを通して、滋賀県に住む子どもたちが、私たちの暮らしを支えてくれている水というものに対して考え、気づき、楽しみ、そして守り続けていこうと思ってもらえるきっかけになればと思っています。今後も子ども達の探究心を育てる機会となる場を提供していきたいです。

今回、イベントに協力してくださったマザーレイクゴールズ推進委員会及び、関係者の皆様、参加者の方々に深く御礼申し上げます。(京都外国語大学3年 二葉楓馬)

主催

NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)・マザーレイクゴールズ推進委員会・滋賀県

協力

中主漁業協同組合・あやめ荘