皆様こんにちは 京都外国語大学の廣田です。
9月10日にヤンマーミュージアムにて実施された「琵琶湖を感じて湖魚の陶器・版画を作ってみよう体験」についてレポートします。
このイベントは実際に湖魚に触れることをテーマに開催されたイベントで、当日は親子連れをはじめ老若男女問わず参加者が集まりました。
湖魚の版画を体験!
当日の3つある体験アクティビティのうち、湖魚の版画体験を実際にやってみました。まず琵琶湖で生きている魚をモチーフにした型紙を選びます。その後、ボールペンを使い、型紙に傷をつけていきます。この時付けた傷が自分のイラストを分ける大きなポイント となるので、配布されていた琵琶湖の魚たちのパンフレットを参考にしながら丁寧に傷をつけていきました。
傷をつけ終わると、原画を転写させる作業に入ります。原画をプレス機に挟み、紙に転写させていきます。個人的な感想ですが、実はこのプレス機は中学校の時の美術室にあった物と同じ形のものでした。でも当時の版画の授業ではこれを横目にバレンを使い人力で印刷をしていたので、その時に抱いた、使ってみたいという憧れを7年越しに叶えることが出来ました。
最後に当日の日付や会場、作成者の名前の印を押すと実際の釣りの時に作る魚拓のようなオリジナル絵画が完成しました。
湖魚陶器の色塗り体験
次は湖魚陶器の色塗り体験について紹介します。版画体験では型紙に色付けをしました が、こちらでは実際の湖魚の形をした立体感ある陶器に色付けをしていきます。参加者方々は思い思いに色付けをしていました。こども達が行っていた色の使い方に大人の方がいい色だとほめて自分の作品にも取り入れるなど、ゲスト同士の交流も生まれていました。
湖魚すくい体験
最後のアクティビティは特にこども達に大人気だった湖魚すくい体験です。この体験は文字通り、水槽の中の魚やエビを、網ですくうものです。琵琶湖で漁師を営む駒井さんが参加者のこども達と交流している姿が印象的でした。
当日、3つのアクテビィ全てを体験した親子連れにインタビューをしました。兄弟は前日もバス釣りを行うなど魚が大好きな兄弟でした。兄弟それぞれ楽しかったアクティビティは異なりましたが、2人とも口をそろえて、楽しかったということでした。自慢げに「ぼくアユの天ぷら20匹食べるんだ」と語ってくれた笑顔がとてもかわいかったです。保護者の方もこのようなイベントを通してこども達がもっと魚を好きになってほしいということでした。
館内展示紹介
館内では実際のエリ漁 で用いられている杭の一部や、実際の漁の様子、琵琶湖の魚たちのイラストやおすすめの食べ方、昨年実施されたアーティスト・インレジデンスという美術活動を行っている高校生 や大学生・美術関係者を対象に行われた宿泊型 ワークショップの参加者たちの実際の絵画などの展示も行われていました。
琵琶湖の魚たち
展示されていたエリ漁について、少しここで紹介したいと思います。漢字で「魞漁」と書くこの漁は字の通り、魚が入りそれを取る漁の方法です。障害物にぶつかるとそれに沿って泳ぐ魚の習性を利用しています。他の漁では、泳いでいる魚を網で一気にとってしまいますが、この漁は魚が穴へ入るのを待ち、その穴の網を引き揚げるため、乱獲にならず、魚を持続的にとることが可能な方法です。 この方法は琵琶湖ならではの漁として長きにわたり行われています。
エリ漁で実際に用いられる道具の紹介
駒井さんは次のように話してくれました。「伝えるという視点から、アートを切り口として利用している。食べることへのハードルがあったとしても、自分で見て感じてほしい」。
この言葉の通り、これら展示物を見るだけでも学びを得ることが出来る場であると同時に、普段口にしている魚たちやその限りある命を継続的に守ろうとする漁師の方々への感謝の気持ちが生まれました。
おわりに
今回のイベントに参加することで、よく知らなかった琵琶湖の魚や漁について知るきっかけとなりました。琵琶湖の水は滋賀だけでなく、京阪神エリアへも流れています。その水で生活をしている人が、一人でも多くこのことを知り、それはやがて琵琶湖を永く守りつないでいくことにつながっていくと思います。
12月には今年のアーティスト・インレジデンスの活動で制作された作品の展示会を行うことが決まっています。ぜひ12月の作品展示会に参加して、琵琶湖での漁や、琵琶湖に生息する生き物について知るきっかけにしてください。