体験を通して琵琶湖を学ぶ1日
3月21日、大津市和邇中浜の和邇漁港で「びわ湖の研究者になろうツアー~湖魚が輝くびわこ未来のデザイン~」が開催。滋賀県内の小学4年生から6年生の児童9人が参加し、漁体験や水槽づくりなどを通して琵琶湖について学びました。
このツアーは、「とって、食べて、守る」という体験を通じて琵琶湖の未来を考えることを目的としています。琵琶湖や流域を実践的な学びの場とする取組であり、MLGsゴール10「地元も流域も学びの場に」にもつながる活動です。

伝統漁法「エリ漁」を見学
参加者の児童9人は船に乗り、MLGs案内人である琵琶湖の漁師・駒井健也さんの案内でエリ漁を見学しました。エリ漁は湖岸から沖合に向かって設置した網に魚を誘導する伝統的な漁法。
当日は、ヒウオやイサザ、ホンモロコ、ニゴイなどが水揚げされました。子どもたちは網にかかった魚をタモですくいあげ、船上で魚を選別。大津市の小学4年生・武田陽依さんは「エリ漁は初めてで楽しかった。思っていたより小さい魚が多かったが、ニゴイが取れてうれしかった」と話していました。
駒井さんは「琵琶湖では魚が減っていますが、季節ごとにさまざまな魚がいます。今日の体験が琵琶湖について考えるきっかけになれば」と話します。
こうした体験は、琵琶湖の魚への理解を深める機会となり、持続可能な漁業や資源の大切さを考えるきっかけとなります。MLGsゴール2「豊かな魚介類を取り戻そう」に関連する学びが実践されました。

水槽づくりで考える「魚のすみか」
漁体験をした後は、湖岸に戻り、水槽作りに取り組みました。ワークショップに先立ち、今回のイベントの主催者である特定非営利法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)の大学生による紙芝居が行われ、ヨシの減少や埋め立てなどにより魚の隠れ家が減っている現状が紹介されました。

子どもたちは「自分が魚ならどんな環境がよいか」を話し合いながら、石を配置し、隠れ家や泳ぐ空間を工夫しました。ペットボトルを使ったろ過装置を作るなど、水質への配慮も見られました。
大津市の5年生・田中彩瑛さんは「魚が泳ぐ場所と隠れる場所を分けて水槽を作りました」と話します。
こうした取組は、水辺環境の保全やごみ問題への意識を高めるものであり、MLGsゴール4「水辺も湖底も美しく」につながる学びとなりました。

湖魚を味わい、恵みを実感

昼食は、大学生が調理した湖魚料理。当日に琵琶湖で獲れたイサザやヒウオ、スジエビのかき揚げ、ホンモロコの佃煮、ニゴイのあら汁や天ぷら、フナの天ぷらなどが並びました。

武田さんは「あら汁は魚のだしが出ていておいしかった」と話し、体験と食を通じて琵琶湖の恵みを実感している様子が見られました。

湖魚を食べる体験は、地域の食文化や資源の価値を実感する機会となり、湖魚料理を日常的に楽しむ社会を目指すMLGsゴール2の視点とも重なります。
ワークショップで描く琵琶湖の未来

昼食後は、「どんな琵琶湖なら魚が住みやすいか」をテーマに話し合いが行われました。子どもたちからは、「ごみを捨てない」「ヨシを増やす」「魚を取りすぎない」「自然に戻る素材で袋を作る」「琵琶湖を知ってもらうイベントをする」など、多様な意見が挙がりました。

MLGs案内人である滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの専門研究員・佐藤祐一さんは「水がきれいであれば魚が増えるとは限らず、さまざまな要因が関係している」と説明し、「何が魚の減少につながっているのかを解き明かすことが研究者の役割」と話しました。

子どもたちは、単純な答えのない課題に向き合いながら、自分たちにできる行動を考えました。
学びをつなぐ大学生の役割
今回の企画・運営は、IVUSAに所属する立命館大学の学生7人が担いました。リーダーを務めた髙野純広さんは、昨年の反省を踏まえ「今年は発表の時間をしっかり確保することを意識した」と話します。

「水槽づくりは自分たちのアイデアだったが、子どもたちが楽しそうに取り組んでくれてよかった」と振り返り、「大学生だからこそ、教えるだけでなく一緒に学ぶ関係がつくれる」と活動の意義を語りました。
このような関わりは、学びの連鎖を生み出す取組として、MLGsゴール10の実現にも寄与しています。
琵琶湖への愛着を育む体験に
今回のツアーについて、駒井さんは「子どもたちが魚に夢中になってくれてうれしかった。普段できない体験を大学生が企画してくれている」と感謝しました。
漁や食、学びを通じて琵琶湖に親しむ機会は、自然を楽しみながら愛着を育むことにつながります。本イベントは、体験を通じて琵琶湖を身近に感じる機会を提供するものであり、MLGsゴール11「びわ湖を楽しみ 愛する人を増やそう」の実践にもつながる取組となりました。


