2026年8月27日、「MLGsみんなのBIWAKO会議/COP5」がイオンモール草津で開催されました。
2021年7月に策定されたマザーレイクゴールズ(MLGs)は、琵琶湖を切り口に2030年の持続可能社会を目指す13のゴールです。
2026年はMLGs策定から5年目にあたり、2030年に向けた中間地点となります。会議では、これまでの活動を振り返るとともに、MLGs評価報告書「シン・びわ湖なう2026」を通じて、13のゴールの現状や傾向について報告されました。
また、若者による活動紹介や、琵琶湖に関わるさまざまな団体・企業によるブースセッションなどを通じ、今後の活動について考える機会となりました。
世界湖沼の日に「みんなのBIWAKO会議/COP5」
8月27日の「世界湖沼の日」に合わせて開催された第5回「みんなのBIWAKO会議/COP5」。
「みんなのBIWAKO会議」は琵琶湖版のSDGs「マザーレイクゴールズ(MLGs)」に関わる人が集い、MLGsのゴール達成状況を確認し、学び合う場として2022年から毎年開催。
今回の会場はイオンモール草津。イオンホールでの会議に加え、1階セントラルコート、レストランコートの3会場で、MLGsを知り、参加できる企画が展開されました。
MLGs5年間の歩み
イオンホールで開催された全体会では、まず滋賀県琵琶湖環境科学研究センター研究員でMLGs案内人代表の佐藤祐一さんが、MLGsについて紹介。MLGsは、琵琶湖を切り口に2030年の持続可能な滋賀を目指す13のゴールで、自然環境の保全だけでなく、琵琶湖と琵琶湖に根ざす暮らしをより豊かに、健全な姿で次世代に協商することを目指すものです。
一般社団法人北の近江マザーレイク共創会議代表理事でMLGs案内人幹事の三和伸彦さんからは、5年間の活動について報告がありました。
MLGsに賛同する会社は2,000を超え、ロゴマークの利用届出は383件、ワークショップは185件、ワークショップの延べ参加者数は1万2,000人を超えたことを報告しました。
マイクロプラスチックの調査、子ども向け環境学習、地域ツアー、琵琶湖から大阪湾までの流域を意識した活動、海外での発信、MLGs体操、音楽イベント、スポーツイベント、学校・大学との連携など、さまざまな分野へ活動が広がっています。
MLGsの認知度については、約28%。三和さんは専門家や研究者、活動者だけでなく、一般の人々へさらに広げていくことが課題だと述べました。
今回、商業施設であるイオンモール草津を会場とした背景にも、これまでMLGsと接点のなかった人々へ知ってもらう機会を広げる狙いがありました。
今の琵琶湖を知る報告書「シン・びわ湖なう2026」
2026年のMLGs評価報告書「シン・びわ湖なう2026」では、13のゴールについて、現状と傾向の両面から評価が行われました。

評価では、状態について「よい」「悪くはない」「悪い」、傾向について「改善している」「変わらない」「悪化している」「評価できない」という区分を用いています。
2026年の総合評価では、状態について「よい」が8%、「悪くはない」が61%、「悪い」が31%。傾向については「改善している」が23%、「変わらない」が38%、「悪化している」が31%、「評価できない」が8%となりました。
また、ゴール13「つながりあって目標を達成しよう」は、傾向が「変わらない」から「改善している」に変更されました。MLGs案内人を核とした取り組みが継続・拡大し、地域における活動の創発につながっていると判断されたためです。
5年間を振り返ると、ゴール達成に向けた活動は広がった一方、状態に関する評価が改善したゴールはありませんでした。琵琶湖とその流域の自然環境や暮らしの状態を短期間で変えることの難しさが示されました。
ゴール間の関係についても報告されました。魚介類、水質、森林、農林水産業、気候変動、地域文化などはそれぞれ独立しているのではなく、相互に関係しています。そのため、個別のゴールだけを見るのではなく、環境と経済・社会活動をつなぐ地域・流域の「健全な循環」を構築することが重要だと報告されました。
「シン・びわ湖なう2026」は、MLGsの13のゴールについて、関連する指標を設定し、学術的な観点から評価した報告書です。各ゴールの評価だけでなく、ゴール間の関係性や琵琶湖と流域で起きている出来事についても整理されています。
会場では4つのゴールについて、各担当のMLGs学術委員より評価の説明が行われました。
ゴール1「清らかさを感じる水」についての評価
ゴール1「清らかさを感じる水」について龍谷大学先端理工学部教授・岸本直之さんが評価。総合的に横ばいという評価でした。
透明度は長期的には改善傾向にあり、近年はおおむね横ばい。CODは近年改善傾向にあるものの、環境基準の達成には至っていません。北湖の窒素・リンについては環境基準を達成しています。一方、アオコは特定地域で継続的に発生しており、課題として残っています。
また、温暖化の進行に伴う全層循環や成層期間の変化など、琵琶湖の水質や生態系をめぐる環境変化についても説明されました。
数値上の水質だけではなく、水の循環や生態系への影響を含めて琵琶湖の状態を捉え、温暖化への適応を進める必要性が示されています。
ゴール5「恵み豊かな水源の森を守ろう」についての評価
ゴール5「恵み豊かな水源の森を守ろう」について京都大学地球環境学堂准教授・深町加津枝さんは、状態は悪いが、傾向は横ばいと評価。
滋賀県の土地のおよそ半分を占める森林は、水源涵養、生物多様性、文化、教育、木材供給など多面的な役割を持っています。
ニホンジカによる食害や下層植生の衰退が見られ、森林生態系のバランスが課題となっています。
林業従事者は平成7年頃の約500人から現在は約半数となり、県産材の素材生産量も減少しています。
一方で、企業との森林づくりの協定、市民・自治会による活動、小学校での森林環境学習など、森林に関わる取り組みも行われています。
ゴール8「気候変動や自然災害に強い暮らし」
ゴール8「気候変動や自然災害に強い暮らし」については、滋賀大学経済学部教授の田中勝也さんが評価を発表。状態は悪くはないが、悪化傾向と評価。
県による対策はこの5年間で充実している一方、個人の備えが追いついていないことが課題とされています。
彦根の猛暑日については27日で観測史上最多と報告されました。
また、自宅の浸水リスクを確認した人は令和7年度で72.7%、滋賀県独自の「地先の安全度マップ」を知っている人は44.6%とされました。
災害への備えとして、自宅周辺の危険度を確認し、家族で避難場所や避難経路を決めること、近隣住民と声を掛け合う関係をつくることの重要性が説明されました。
ゴール9「なりわい・産業に地域の資源を生かそう」
ゴール9「なりわい・産業に地域の資源を生かそう」について京都府立大学大学院生命環境科学研究科准教授・中村貴子さんが評価を発表。農業・漁業の担い手が減少する一方、新たな担い手も生まれていることが報告されました。
農業では1経営体当たりの農地面積や産出額が増加し、環境保全農産物の作付け割合も増加。有機JASの茶・米の面積も増加しています。
漁業については、漁獲量の減少が漁業者の減少にもつながることから、湖魚を食べることによって地域資源の利用と産業を支えることの重要性が示されました。
県産材を利用した建物の増加など、木材利用についても前向きな動きが報告されました。
世界農業遺産「森・里・湖に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」を生かし、地域資源を食べる・利用する行動を広げることが期待されています。
次代を担う若者によるMLGs活動
会議では、若者による活動も紹介されました。
しがローカルSDGs研究会が運営するRキッズ(プラごみ研究会Rキッズ)は、8月2日に大津の湖岸で実施したマイクロプラスチック調査について報告。5班合計でメソプラスチック102個、マイクロプラスチック49個を確認し、調査対象の砂浜全体では約3万2,000個のマイクロプラスチックがあるとの試算を発表しました。
また、マイ容器を持参して購入できる店舗を調査し、「びわこ買い物マップ」を公開していることも紹介しました。
NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)からは、高野純広さんが子ども向け環境学習「琵琶湖の研究者ツアー」などの活動を紹介。西の湖のヨシ刈りやオオバナミズキンバイの除去など、滋賀県内での環境活動について報告しました。
MLGs貢献団体への感謝状贈呈式
続いて、MLGsの取組への寄附をしていただいた企業2社にMLGs推進委員長(滋賀県琵琶湖環境部長)の中田佳恵さんから感謝状が贈呈されました。
■株式会社Mi-Oスポーツ
令和8年度にレイラック滋賀FCの運営法人である株式会社Mi-Oスポーツから寄付(観戦チケットの寄贈)がありました。レイラック滋賀FCは滋賀から初のJリーグ入りを果たしたチームです。地域に根ざしたスポーツクラブとして日頃から環境保全や地域貢献、マザーレイクゴールズ啓発活動に深く関わっています。
強化本部長の和田治雄さんが感謝状を受け取りました。
■株式会社SHIOSAWA
令和8年度に株式会社SHIOSAWAから寄付がありました。
同社は長野県を拠点とし道路や建設の基礎となるマテリアル事業やエネルギー事業を通じて地域のインフラと暮らしを支えています。「びわ湖カンパニー」などのメディア出演を通じ、長野県の環境先進県としての取組や自社の環境活動の取組を精力的に発信。長野と滋賀両県の民間の架け橋として環境保全と地方創生に貢献しています。
会場では代表取締役CEOの山口英俊さんからのビデオメッセージが流されました。

つながるブースセッションPR
午後から開催される「つながるブースセッション」のブースリーダーによる各ブースPRも行われました。
活動内容の紹介とどんな展示をしているのかなどが紹介されました。










