NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)の二葉楓馬(京都外国語大学)と小島侑也(同志社大学)です。
5/15(日)、滋賀県長浜市西浅井町でONESLASH主催の山・里・びわ湖を感じる『西浅井エコ体験』に参加させていただきました。
ONESLASHさんは地元である滋賀県長浜市の農業、特に米作りに関する問題に直面した地元出身のメンバーが集まり『Rice is comedy(米づくりは喜劇だ)』をコンセプトに掲げ、米作りを通して地域のネガティブをポジティブに変える活動を行っています。そこで今回は5年前からRice is comedyとしてつくってきた田んぼで午前中に田植えをした後、炊き立てご飯をいただき午後から近くの川で川遊びをしました。
チラシを作ったそうですが、募集をかけるまでに定員30名が埋まるほどの人気ぶりだそうで貴重なイベントに参加できたことを嬉しく思います。
手植えでの田植え体験
午前には、実際に手植えでの田植え体験をさせて頂きました。靴下で田んぼの中に入ると、子供の頃に泥遊びをしていた記憶が蘇り、少し懐かしい気持ちと同時に泥に足を入れる背徳感があって不思議な感覚になりました。企画に参加していた子ども達も、普段味わうことのない田んぼを歩く感覚やそこに生息する生き物たちを見ることができ、楽しんでいる様子でした。
苗3〜5本を手に取り一箇所ずつ等間隔で植えていくという作業の説明を受け、実際に苗を植えていく作業を行いました。初めは等間隔でまっすぐに苗を植えているつもりが少しずつずれてしまっていて、私が想像していたよりも細かくかつ丁寧な作業が必要であると実感しました。また、その一箇所に植えた苗3〜5本で、秋頃になるとお茶碗約一杯分のお米が収穫できるとお伺いし、改めて普段私たちが口にしているお米のありがたさを実感することができました。
今回、私たちは伝統的な手植えでの体験をさせて頂きましたが、現代では技術の発展もあり、田植え機での稲作が主流となっていることをお伺いしました。実際に機械を用いての田植えも拝見させて頂き、現代においての米作りの実情を知ることができました。今回主催いただいたONESLASHの方から「農業は大変なイメージが強いが、技術の発展によって身近に楽しみながら行えるものになっている」というお話をお伺いすることができました。
2種類のお米を食べ比べ
田植えの後、ONESLASHさんが普段行っている「ゲリラ炊飯」でご飯を炊いてくださりました。
ゲリラ炊飯とは街中やイベントに突然屋台で現れ、その場で薪をくべ、羽釜でお米を炊き、集まったお客さんにおにぎりを振る舞う活動のことです。お米づくりの楽しさ面白さを、わかりやすくキャッチーにして誰にでも伝わるようにと活動されています。
ご飯を炊いている最中に黒いお米、古代米の紹介がありました。
「あさむらさき」という1980年に生まれた品種なのですが、古代米と呼びます。なぜ古代米というのでしょうか。
日本でお米を食べ始めた縄文時代では緑や黄色や黒などの色付きのお米で白ではありませんでした。そのため色がついていたら古代米というようになったそうです。玄米として茶色のお米は見たことがあったのですが、黒色は初めてでびっくりしました。栄養価が高くお肌や目に良いそうです。
昼ご飯には2種類のお米を用意してくださいました。1つは「コシヒカリ」、もう1つは「いのちの壱」です。いのちの壱は岐阜県下呂市の棚田でコシヒカリが突然変異してできた品種だそうで、3年かけて種を作った農家さんから譲り受けてONESLASHさんが栽培しています。
また、「いのちの壱」は繊細なお米だそうで、精米などで真っ白にしようとするとお米が割れてしまうそうです。そこで8分つきとして玄米層を残した精米の仕方になり、お米本来の味を楽しむことができます。
お米を炊いている途中からとても良いにおいがしてきました。一度炊けたらお米をほぐし、3分待ちます。そうするとお米に水分がまわり一つ一つがふっくらした食感を楽しむことができるそうで、おいしく食べるための3分間、頭がお米でいっぱいになりました。
お米が炊けるとおにぎりにしてくださり、おこげの部分をせんべいのようにしていただきました。また、お米だけでなく参加者の方から小鮎の佃煮やスジエビの素揚げ、きゅうりやカブのお漬物、そしてお味噌汁まで用意していただきました。
どちらのお米がおいしいかたくさんの方に聞くと「いのちの壱」が圧倒的人気で、水分を含んだもちもち感が好評でした。初めて「いのちの壱」を食べたのですが、もっと食べたいという思いからおかわりをさせていただきました。とにかく美味しかったです。貴重な体験をありがとうございました!
川遊びをしながら自然と向き合う
美味しいお米を振る舞っていただき、午後からは田植えをした場所の近くの川で、そこに住む生物を捕まえて観察したり、投網の体験をして西浅井の自然と触れ合いました。川に入る前には子ども達の安全を守るため、ライフジャケットの着用とそれに関する説明、保護者の方への安全の確認の方法など、自然との向き合い方について教わりました。
また、琵琶湖環境科学研究センターの佐藤さんに網を用いた水生生物の捕獲方法をレクチャーしていただき、参加者の方々と一緒に生き物を捕まえるチャレンジをしました。午後の気温は午前に比べて低く、川に入るには寒いくらいでしたが、子どもたちは寒さよりも川の生き物に興味津々!!夢中で川遊びを楽しんでいる様子でした。
川遊びも終盤になり、最後に佐藤さんから投網についての説明を実践形式で解説していただきました。手持ちの網では捕まえることの難しい生き物でも、投網であれば「一網打尽」にできることを教えていただきました。参加者の子どもたちにも実際に投網を体験していただき、魚を捕まえることはできなかったもののとても上手に網を投げることができていました。
子どもたちの投網体験も終わり、そろそろ川遊びも終了……とその時にニゴイという大きな魚が川を登ってきており、子どもたち含め参加者全員が興味津々に!網を構えて捕獲にチャレンジしました。私は絶対捕まえられないと初めから諦めの気持ちで見ていたのですが、なんと参加者の学生が2人がかりで捕獲に成功し、参加者のみならず主催者側の方々も含め全員大盛り上がりでした。
川から上がり、集会所の前で今回の川遊びで捕獲した生物の解説を佐藤さんにしていただきました。ドジョウやエビ、アカハライモリや最後に捕まえたニゴイなど他にも様々な生き物を捕らえることができ、改めて西浅井の自然の雄大さを実感しました。また、ニゴイは綺麗な水辺に生息するとのことで、西浅井の整った水環境についても身に染みて感じました。
解説をしていただいた後には、今回捕らえたドジョウを素揚げにして振る舞って頂きました。私自身、人生で初めてドジョウを食べたのですが、クセや生臭さもなく、普段食べている小魚のような味わいでとても美味しくいただけました。
参加者の想いを模造紙に
今回の企画参加者で、大きな模造紙に絵やメッセージを書いたりしてイベントを主催して頂いた方々に、感謝の気持ちや今回のイベントを通じて感じたことなど、それぞれの西浅井に対する思いを表現していただきました。田植えでの貴重な体験に関すること、お昼に振る舞っていただいたお米の美味しさに感動したこと、川遊びで自然の素晴らしさに触れたことによる思いなど、企画に参加した人それぞれに西浅井に対する溢れる思いが伝わってきて、今回のイベントの成功を見て感じ取ることができました。
びわ湖のつながりを肌で感じて
イベント終了後、ONESLASHの代表清水広行さんに最後にお話を伺いました。
「西浅井にあるのは田んぼだけではなく、地域として山、里、びわ湖が全部つながっている場所であるということ。滋賀県はそれをびわ湖システムとして名付け世界農業遺産に申請したりしていますが、一連の流れを小さい規模で感じ取れる場所として西浅井が一番優れていると言われています。
朝は濁っていなかった川が、田んぼ作業した後の川遊びの時には濁っていました。田んぼで栄養素を含んだ水が流れているからびわ湖の環境が守られている、びわ湖システムを直接体験することができた」と清水さんのお話を聞き、体験と知識がリンクしハッとさせられました。
西浅井を知ってもらいたくてこのイベントを企画しているそうですが、活動の源泉は全て子どもだそうです。清水さんが小さな頃にはお祭りの屋台がありましたが、5年前に地元に帰ってきたところ出店がゼロ、そのことに危機感を覚え、常に子ども目線で活動を企画し、ビジネスで勝負できることを背中で見せるそうです。
「教えなくても素晴らしい西浅井で活動することで何か感じ取ってもらえる。そして将来、西浅井に戻ってきて昔していたことと結びつくことになる」とお話しいただきました。
取材後記
今回のイベントで感じたことは子ども、大人関係なく活気が半端ではなかったことです。ONESLASHさんの明るく元気な声に呼応するように子どもたちのエネルギーで会場の空気が充満していました。一日を通して見どころがたくさんあり、西浅井を満喫できました。私たちは地域活性化や環境保護のボランティア活動で子どもに向けてどのように関わることがいいのか試行錯誤していますが、今回のイベントに参加し、ONESLASHさんのような活気あふれる活動でびわ湖の魅力を伝えていけるようになりたいと思います。(同志社大学:小島侑也)
今回のイベントを通じて、私が今まで知ることのなかった西浅井という地域の魅力を、身を以て体感することができました。私たちが普段何気なく口にしているお米のありがたさやその魅力、滋賀を代表するほどの自然の雄大さや地域の方々の温かさが、私にとって様々な気づきを与えてくれました。こういった魅力あふれる町をもっとたくさんの人に知ってもらえるような活動を今後行っていけたらなと思います。今回のイベントの企画・実施をして頂いた主催者の方々や並び関係者の方々ありがとうございました!!(京都外国語大学:二葉楓馬)