12月1日(日)、米原市役所市民交流エリア(コンベンションホール)にて、淡海の川づくりフォーラム実行委員会と滋賀県主催「第16回淡海の川づくりフォーラム」が開催されました。
今回は、滋賀県内の活動団体を中心に13団体が参加。活動内容の発表や団体間の交流が行われた当日の様子をレポートします。
開会〜全体発表
江島滋賀県副知事による挨拶、北井香実行委員長による挨拶が行われたのち、13組が3分の持ち時間で思い思いに日頃の取り組みをアピールしました。
発表内容は、グラフィックファシリテーションにてリアルタイムに可視化
全体発表後は、3グループに分かれさらに議論を深めるテーブル選考が始まりました。一般参加の方は、テーブル選考中、自由に移動ができる仕組みです。
【テーブルAの参加団体】
・川のおぢさん がわと
・NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)
・THEシガパーク推進会議
・淡海を守る釣り人の会
・日本潜水連盟
【テーブルBの参加団体】
滋賀県土木交通部流域政策局河川・港湾室
玉一アクアリウム
米川よろず会議
日野川流域まもり隊
【テーブルCの参加団体】
家棟川・童子川・中ノ池川にビワマスを戻すプロジェクト
小さな自然再生ネットワーク
京都産業大学現代社会学部鈴木ゼミナール
Tabiwa Next
選考は、長所を評価する加点方式です。全体発表で伝えきれなかった活動内容の発表や、選考委員や参加者からの質問なども行われました。
建設的な議論ののち、公開選考というスタイルで各グループから2団体を選びました。その後、各テーブルのコーディネーターから選考結果の報告と推薦団体の紹介を行いました。
ポスターセッションによる復活選考・団体と参加者の交流
休憩を挟み、午後からはまず、ポスターセッションによる復活選考が行われました。テーブル選考では惜しくも推薦が得られなかったものの、「応援したい!」と思った活動に対し、担当する選考委員が付箋をパネルに貼り追加の推薦団体を絞っていきます。参加者は受付時に渡された「応援メッセージカード」にメッセージを記入してパネル前の箱に入れていきました。
「米川よろず会議」のVRゴーグル体験は子どもから大人まで大人気
各団体のパネル前ではそれぞれの交流が大いに盛り上がっており、あっという間に時間が過ぎていきます。参加団体からは「新たな活動のヒントがもらえた」「新しいつながりが生まれた」といった喜びの声も上がっていました。
復活選考では3団体が選ばれ、午後からの全体発表で再度の活動発表と全体討論選考員からの質疑応答を行いました。全体討論では会場からの発言も多く受付ながら、活動発表を通して「川と水辺、わたしたちのいい関係」づくりにつながるきらりと光る視点について議論を深め、会場全体で共有しました。
各賞の発表〜受賞式
グラフィックファシリテーター3名とホワイトボードファシリテーターによる総括ののち、
瀧実行委員長代理は、今年のキーワードを「好き」と説明。「今年のプレゼンは、プレゼント。聞いているほうが幸せになるようなプレゼンでした。好きという気持ちが溢れているから、活動が続き、実を結んでいく。まさに『好きのおすそわけ』」と、今年のフォーラムを締めくくりました。
最後に受賞団体と活動内容について、紹介します。また、前年度受賞団体より、副賞が贈呈されたため、一緒に記念撮影が行われました。
グランプリ 家棟川・童子川・中ノ池川にビワマスを戻すプロジェクト
「家棟川・童子川・中ノ池川にビワマスを戻すプロジェクト」は、市民活動を起点に行政や専門家、企業が協力して展開されました。かつてのビワマス遡上の環境を再現するため、「小さな自然再生」として仮設魚道設置や産卵床造成などを手作業で実施。試行錯誤を重ね、成果が行政を動かし、本設魚道が設置されました。その結果、ビワマスが魚道を登る姿が見られ、環境再生の大きな一歩を達成しました。
準グランプリ 米川よろず会議
「米川よろず会議」は、滋賀県長浜市の米川を中心に、川とまちが共生する未来の創造を目指す活動を発表しました。VR技術を活用し、バーチャル空間上で米川を再現。人々が集まり、理想の河川空間を議論・試行する場を構築。川で遊ぶ楽しさやにぎわいを取り戻す将来像を具体化し、全国的なかわまちづくり促進の一助となることを目指しています。
山紫水明賞(河港・砂防協会賞)小さな自然再生ネットワーク
「小さな自然再生ネットワーク」の活動は、栗東市の中の井川でホタルの生息域を拡大し、水生生物の環境を保護する取り組みです。朝鮮通信使が記録した「綣村の蛍」の光景を再現することを目指し、川あるきを通じて生態系を観察・保全。水質改善や生息地の整備により、ホタルや水生生物が暮らしやすい環境を構築しています。
マザーレイクゴールズ賞 Tabiwa Next
「Tabiwa Next」は、滋賀県の「ビワイチ」をサステナブルで心身の健康を重視した「ウェルビーイングな観光」として再設計する活動を行う団体です。今年度はトライアスロン大会や国際会議を通じて、持続可能な観光のあり方を模索。「しまなみ海道」と比較し、ビワイチの壮大さや清潔なイメージが十分に認識されていない課題を明確化しました。地域の魅力を再発見し、観光客の満足度向上を目指す具体策を検討するとともに、滋賀の自然と共生する観光の新たな形を創出することを目指しています。
応援の花咲いた賞 玉一アクアリウム
「玉一アクアリウム」は、明石川水系(下流~河口)において、モニタリング調査や外来種の駆除、在来種の保護活動を実施し生物多様性保全活動を行う団体です。近年の調査では季節来遊生物(死滅回遊生物)が多く確認され、なかには越冬し成長する種も見られたと紹介。さらに地球温暖化や海水温上昇により、これらの生物が定着する可能性があり、外来種同様、生態系や漁業への脅威が懸念されています。環境変化の影響を早期に把握するため、調査結果を地域社会に共有しながら活動を継続しています。
すべての団体に良いところ、きらりと光る着眼点があり、審査員、参加者の方、それぞれが新たな学びを得た1日になりました。
なお、当日の様子は、アーカイブ配信にてご覧いただけます。