皆様こんにちは 学生ライターの廣田歩夢です。
今回は10月22日に滋賀県と淡海の川づくりフォーラム実行委員会によって開催された、「第15回 淡海の川づくりフォーラム」についてレポートします。
このフォーラムは「川や琵琶湖、水辺と共生する暮らし」「川や琵琶湖、水辺と私たちのいい関係」を探ることを目的として実施されています。川や水辺に関する活動を行っている方々が集まり、自分たちの活動について報告するだけでなく、交流をしていくことで双方の良いところを発見し、活動を広げる機会です。今回は滋賀県内の活動団体を中心に16団体が参加をし、団体間での活動の共有や交流を行いました。
まず、全体発表が始まりました。各団体3分の持ち時間の中で自分たちの活動をポスターや実際の制作物を用いて紹介していきます。紹介された内容をすぐにイラストにし、わかりやすく伝えるグラフィックファシリテーションも行われており、各団体の活動や議論の”見える化”がされることで、さらに深い議論ができました。
充実した討論の時間であったことを物語るグラフィックファシリテーション
全体発表が終わると5,6団体ごとにテーブルを分け、そのテーブル毎に一押しの団体2つ選出するテーブル選考に移りました。この選考では長所を評価する加点方式がとられています。ここでは選考も行いつつ、活動がさらに良くなるための意見交換も行われました。
テーブル選考が終わり、休憩を挟んだのちに復活選考が行われます。この選考過程は、テーブル選考にて推薦が得られなかったものの、内容が素晴らしい3団体を全体選考員、総合コーディネーター、実行委員で選定していきます。これら2つの選考で推薦された計9つの団体は、改めて活動内容を発表しました。冒頭の発表とは異なり、今回は質疑応答及び全体討論を行います。質疑応答の時間が加わることで活動の更なるアピールにつながる時間でした。
また全体討論の後、各賞の発表と受賞式も行いました。今回受賞された団体の取り組みについて紹介します。
グランプリ せせらぎの郷須原
生物多様性にも配慮した米作り「魚のゆりかご水田」を柱に、世界農業遺産にも認定された「せせらぎの郷 須原」の地域づくりに取り組んでおられます。環境学習や見学に訪れる人は県内だけでなく下流地域の京都や大阪、更にはウズベキスタンやスリランカなど幅広いエリアの方々です。米作りだけでなく日本酒造りや大麦ストローなど、この水田を中心とした6次産業化にも取り組んでおられ、かつて存在していたゆりかご水田を復活させ、それを守り、次世代へ継承していくことを重要視して活動に取り組んでおられます。
準グランプリ 滋賀県立大学水利環境論
川流域の上流から下流までを再現し、自然や文化などを学べるすごろくを作成されました。盤面を中心に、参加者は実際の水になったつもりでゲームに参加します。この再現度が高いことが、この団体の売りポイントの一つでした。特に素晴らしいのが、止まったマスに応じてシールを配布している点です。このシールを使って自分だけのノートを作ることが出来るほか、シールに位置情報が記載されているので、実際の場所に赴き、更なる学びを得ることも出来ます。
準グランプリ/応援の花咲いた賞 びわこ豊穣の里
目田レンジャーとして自分たちの大好きな目田川の保全を行っておられます。主な活動は川の清掃、外来種駆除、リサイクルを通した生物を守る活動です。毎月ゴミの清掃をされており、そのゴミの量はなんと一年間で大人のパンダ1頭分の重さ!更に外来種を駆除して、自然の再生などにも取り組んでおられます。
山紫水明賞 NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)
こども達を対象とした、次の3つの探求型の環境学習イベントについて紹介されました。①水がきれいになる仕組みを学ぶため手作り浄水器作成イベント②人間に限らず、すべての生き物にとってのきれいなみずについて考えるための、川の水質調査や生物調査③琵琶湖や川、これらの水源となっている森林に着目して森林土壌の再現や湧き水の見学、です。このイベントを通して、参加したこどもだけでなく、全ての関係者に学びや気づきがあったと話されていました。
マザーレイクゴールズ賞 海をつくる会
ダイバーさんを中心とした団体であり、琵琶湖湖底や湖岸での清掃を行っておられます。この活動を行っている理由は、滋賀県民であっても湖底について知らない人が多く、自分事として捉えてもらうため、とのことでした。そのために採集したゴミを集計したのち、グラフを用いて県民の皆さんへの発信活動にも力を入れておられます。
惜しくも賞を逃した団体も、それぞれに良いところ、キラリと光る着眼点がたくさんあり、様々な視点から議論ができました。
ぜひ、当日の様子のアーカイブ配信で全ての団体の発表をご覧ください!
【全編(再生リスト)】
さいごに
今回のフォーラムを通じて、発表をした全ての方から、生活の身近な存在である川だからこそ自分たちが守らなければならないという使命感や目的意識を感じました。1本の川に対して様々な角度からのアプローチがあり、実際に活動している皆さんにとって新たな気づきや学びのある機会であったと思います。山があり、川が流れ、やがて海や湖へ流れつく。その水路を中心に人々が生活を営む。私は、この日本の風景を守っていくためにまずは問題を知る、そしてそれを解決するために清掃活動に取り組む、分別を徹底するなど自分にできることから始めてみたいと思いました。