MLGsニュース

「MLGsローン」で滋賀中央信用金庫が目指す、琵琶湖の循環とは(マザーレイクニュース)

MLGs WEB学生ライターの豊田真彩(立命館大学)です。今回は、2022年4月5日に「MLGs ローン」を発表された、滋賀中央信用金庫 地域支援部の清水敬士さんと高野瀬公人さんにお話を伺ってきました。(取材日:2022年3月31日)

持続可能社会の実現に向け、企業SDGsに取り組むことが当たり前になってきたなか、自社だけでなくサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指そうとする動きが国内外で広がっている。この取り組みで先進的なのはアメリカのApple社で、2030年までに、事業全体、製造サプライチェーン、製品ライフサイクルのすべてを通じて気候への影響をネットゼロにすることを発表しており、多くの注目を集めている。同じく日本でも、積水ハウスやトヨタ自動車をはじめとする大手企業が、サプライヤーに対してSBT認定取得(パリ協定が求める水準と整合した企業が設定する温室効果ガス排出削減目標。1.5℃水準。)の呼びかけや温室効果ガスの削減目標の要請を行っている。そうした動きを踏まえて、サプライヤーも再生可能エネルギーの使用や装置の環境負荷低減などの対応が迫られ、その動きが加速している。

MLGsローンとは

中小企業の環境への取り組みに対するサポートとして、滋賀中央信用金庫は2022年4月1日から「しがちゅうしん MLGsローン」を開始した。

「しがちゅうしん MLGsローン」は、滋賀中央信用金庫の会員および滋賀県内で営業している方を対象に、省エネ、CO2排出量の削減にかかる設備導入資金が最大で1.0%金利優遇されるというものだ。さらに、その実行金額の0.10%相当額が、滋賀中央信用金庫から滋賀県に寄付され、琵琶湖の環境保全活動に役立てられる。

滋賀中央信用金庫だからできること

この取り組みの背景には、先述したような世界規模の動きと、それに対する滋賀の信用金庫としての想いがある。

そもそも信用金庫は、「地域で集めた資金を地域の中小企業と個人に還元することにより、地域社会の発展に寄与する」と信用金庫法で定められている。つまり、信用金庫の営業先および営業地域は限定されていることが銀行との主な違いとしてあげられる。滋賀中央信用金庫の場合、その取引先は100%が滋賀県内の中小企業や個人事業主だ。

そして、その役割は融資を行うことや資金に関する相談にとどまらず、本業支援として、人材や取引先からICT導入の相談まで、事業に関わるほぼ全ての相談を行っている。

中小企業がSDGsに取り組む

中小企業の取引先と日々コミュニケーションをとる中で、SDGsのような地球規模の目標は自分ごとになりにくく、中小企業も取り組んでいかなければならないけれど、何から、どのように取り組んでいけば良いのか悩んでいる中小企業が多い現状を知ったという。そのうえ、CO2排出量の削減や再生可能エネルギーへの転換には既存設備の見直しが必要なことが多く、中小企業にとってはその資金調達も課題となっている。

ちなみに日本における中小企業数が全体企業数に占める割合は、製造業で99.5%、卸売業で99.3%(2021年版中小企業白書)であることから、日本の企業のほとんどは中小企業であると分かる。日本の経済活動においてSDGsの取り組みや環境への負荷削減を推進するには、中小企業の参画、そしてそのサポートが欠かせないと言えるだろう。

滋賀県内の企業に寄り添い、企業の活動を支えてきた滋賀中央信用金庫は、SDGsを滋賀県・琵琶湖に落とし込んだMLGsなら、滋賀県で営業されている中小企業や個人事業主の方にとってもカーボンニュートラルや環境保全といった世界的にもいま取り組むべきとされている課題を身近に感じてもらえるのではないかと考えている。

「しがちゅうしん MLGsローン」は、まさに信用金庫としての重要な使命を果たし、滋賀県内の法人として2030年の持続可能な琵琶湖の達成、そしてSDGsへの貢献を後押しする新たな取り組みなのだ。

MLGsに取り組んで目指したい社会

金融機関は”お金を貸し借りする”というイメージを持っている人も多いのではないだろうか。しかし、滋賀中央信用金庫ではお金を貸すことをあくまで手段と捉え、企業の活動を総合的にサポートすることで、企業活動だけではなく地域全体の発展に貢献する活動を進めていきたいと考えているそうだ。

また、県内企業の環境への取り組みが活発になると同時に、滋賀県への寄附を通じて市民の活動が促進され、地域全体が元気になる社会を目指していきたいという。「1件でも多くの活動に繋がり、持続可能な仕組みにしていきたい」と語ってくださった。

企業・市民・行政の3者が、MLGsローンを通して連携することでより良い滋賀県・琵琶湖の環境を作っていく役割になることにも期待したい。

MLGsローンをお考えの方へ

融資の使い道としては、省エネ環境診断士等の助言・提案を受けた設備投資もしくは、省エネ、CO2排出量の削減が客観的に証明できる設備の導入資金となっている。営業に使用するエコカー、省エネ対応のエアコン、自社で消費する電力を賄う太陽光パネルなどさまざまな設備があげられる。

高野瀬さんは「滋賀中央信用金庫は、ファーストコールバンクとして、省エネ診断士等の無料相談から設備投資まで支援したい」と話す。事業者ごとに改善できる取り組みや導入できる設備はさまざまだろう。事業の中で省エネやCO2削減に取り組みたいとご検討されている方は、まずは滋賀中央信用金庫にご相談してみてはいかがだろうか。

▷「MLGsローン」についてはこちらから