こんにちは。立命館大学3年の佐藤 佳苗(さとう かなえ)です。
「MLGsなひと」は、びわ湖版SDGsであるMother Lake Goals(MLGs)の活動において活躍されている方にお話を伺うシリーズです。
私は今回、MLGs案内人に就任された田口真太郎さんにインタビューを行いました。
田口さんは、茨城県日立市出身で滋賀県立大学大学院卒業後に近江八幡市地域おこし協力隊やまちづくり会社マネージャーとして活動していました。現在は、成安造形大学未来社会デザイン共創機構研究員(助教)、滋賀県立大学非常勤講師なども務めておられます。
普段の活動について教えて下さい
「普段は地元企業やNPOの相談に対応しており、芸術を学ぶ学生や先生との作家活動をマッチングしています。例えば、学生と県から依頼があったロゴマークデザインに取り組んだり、他大学と協力して公園の植物の魅力を活用した新しいコンテンツの開発をするなどの社会実践プロジェクトに取り組んでいます。」
MLGs案内人就任のきっかけを教えてください
「MLGs案内人は、滋賀県内の経済団体でサポーターとして活動していたところ声をかけていただいて就任しました。就任したばかりなので、今後はMLGsをもっと意識した活動を大学でも働きかけていけるよう頑張っていきたいと考えています。
また、環境の専門ではない芸術大学でも、琵琶湖の環境問題に対して様々なアプローチができるのではと考えています。さまざまなスキルや専門性を持った学生たちにMLGsなど琵琶湖の問題に関心を持ってもらうことで、学生が新たな活動を生み出すコーディネーターが増えることも期待しています」
過去に近江八幡市で地域おこし活動をしていたきっかけは何だったのでしょうか
「私の高校時代は環境問題に関するニュースが多く、環境問題や地域活性化、街づくりの話を聞いて関心を持つようになりました。そこで、それらが学べる大学を探していた時に先生に滋賀県立大学を紹介してもらい関東から滋賀県に進学しました。滋賀県立大学・大学院で建築デザインや都市設計などの環境科学を研究しており、自然環境の地域循環について関心がありました。修士研究では、西の湖の保全と活用をテーマに地域計画づくりをやっていたこともあり、近江八幡で地域おこし協力隊やまちづくり会社で活動するようになりました。活動としては重要文化的景観や伝統的な街並み、建造物の歴史や文化を活かしたまちづくりをテーマに活動していました。滋賀県内で様々な活動をしているうちに滋賀県はいい場所だなと実感することができました」
琵琶湖をめぐる問題について思っていることは何でしょうか
「伝統的な祭りが途絶えており、祭りの保全を行うために現場に行き、そこで自分で体験しながら地域の人たちと活動しています。例えば琵琶湖に生えているヨシを活用した産業が近江八幡では発展していましたが、今はその業者がほぼなくなっており、ヨシが手に入らないという状態です。そうすると正月など祭りで使う松明の材料が調達できない。また琵琶湖の水質が悪くなっていることも感じている。そのようなこともあってMLGsをもっと多くの人々に知ってもらいたいです」
今後の目標や学生へのメッセージをお願いします
「琵琶湖の環境保全やMLGsは行政が中心となり進んできています。そこに企業も一緒に行うことで、今までできなかった活動が加速するのではと期待しており、滋賀経済同友会での「MLGsとわたしたち」研究会の運営にも協力させていただいています。今後は企業などと協力して環境・社会・経済の各方面から琵琶湖の保全を後押ししていくことを働きかけていきたいです。
また、琵琶湖の水が安全に飲めるのは世界で見ると珍しいなど、いろいろな人と話をすることで琵琶湖に対して新たな発見ができるので、若者たちもMLGsを通じて琵琶湖や世界のことを知れば今後新しい活動ができるのではと思います。一人ひとりの価値観や考え方が変化すれば行動や習慣も変わって、それが仲間と一緒に活動すると社会を変える力になると思います」
田口さんのインタビューで琵琶湖や滋賀県を取り巻く問題と、それらの解決に向けた熱心な様子をうかがうことができました。インタビューのご協力、ありがとうございました。