MLGsニュース

「令和5年度水質事故被害拡大防止訓練」レポート

こんにちは。立命館大学3年の佐藤 佳苗(さとう かなえ)です。
2023年10月3日に、滋賀県湖南市雨山文化運動公園内にて滋賀県、湖南・甲賀環境協会主催の「令和5年度水質事故被害拡大防止訓練」が開催されました。
この訓練は、油流出等の水質事故が発生した場合に、迅速かつ的確な措置を講じ、被害拡大の防止を図ることを目的としており、谷口商会株式会社(岡山県)の小野雄二郎さんによる講演と、実地訓練の2部制で行われました。会場には滋賀県内の工場で働く人や自治体の土木事業などで働く人々が参加し、主に水質事故被害拡大防止について、適切な対応や資材の使用方法について講演と実技を通して学んでおられました。

最初に行われた講演では、漏洩事故の対応は「初動の対応」が重要で、出来るだけ早く拡散を防止して漏洩を止めることで被害が最小限になることを学べました。また、家庭などで使用している中和剤などを漏洩した油にかけることは逆効果で、河川では絶対に使用してはいけないことも初めて知りました。川や道具の特徴を知ったうえで、この場合はどのような対応を行うことが適切かと講師から参加者に問いかける場面もあり、さらに理解を深めることができました。

講演を終えると参加者は屋外へ移動し、実地訓練を行いました。訓練内容は、「吸着マットの吸着実験」「吸着剤の吸着実験」「土嚢の作成」「土嚢の積み方」でした。

まず、「吸着マットの吸着実験」を行いました。

油吸着シートは主にポリプロピレンで出来ており、工場の油が漏洩して水に混ざってしまった時に使います。水の表面をなぞるように油を取ることを教わりました。

油・液体吸着剤は砂のようで、10キログラムで約10リットルの油を吸収します。漏れた油と吸着剤を混ぜて、塵取りで取り除きました。

次に土嚢作成を体験しました。袋に、穴が空いた缶を入れることで砂が入れやすくなります。

土嚢袋に砂を入れて結ぶ作業です。袋の紐が上手く結べず手伝ってもらいました。

そして作成した土嚢を積みます。排水パイプを川の底に設置することで、川の底の綺麗な水は流しながら、水面に浮いている油などの汚れを土嚢で止めることができます。

これらは普段の学生生活では触れることがなかったので、吸着マットや吸着剤がどのような役割をしているのか、土嚢はどのように作って積むのが適切かなどを知ることは新鮮でした。土嚢の作り方や積み方はお手本を見てから行ったのですが、なかなか上手くできず他の参加者の皆さんに手伝ってもらいました。

また吸引車で、実際に油や水を吸引している様子を間近で見ることもできました。

水は吸いすぎないように、ホースでなるべく油だけ吸っていました。油は完全に吸えないので、高圧洗浄を使うこともあるそうです。

これらを終えると、最後に実際の水路へ移動して、川が流れている状態で土嚢積み体験を行いました。

参加者の皆さんが真剣に土嚢を積んでいました。

約3時間の訓練でしたが、参加者の皆さんが講演や実地訓練に真剣な表情で向かい合っていることが印象的でした。
参加者である中国塗料の水野弘道さん、大隅健太さんは「土嚢やパイプの使い方が勉強になりました。今回の講習に出てきたような事例があるので、それに対応できる人間を増やしていきたいです」と感想を語りました。

取材後記

水質事故などが身近に起こり得る参加者が多く、事故が起こった場合には、この訓練で学んだことを生かして、適切な対応が行えるのではと思いました。今回の訓練に参加して、参加者の方々や資材などを作って下さる人々の努力によって、琵琶湖などの湖や川の環境が安全に守られているのだと実感できました。
今回の訓練の関係者や参加者の皆様、ありがとうございました。