こんにちは。立命館大学国際関係学部3回生の畠です。
今回は、11月7日〜9日にハンガリー・バラトンフュレドにて開催された第19回世界湖沼会議についてお伝えします。
世界湖沼会議とは?
私が2年前(第18回)にも参加させていただいた世界湖沼会議(以下、WLC)は、1984年に滋賀県から始まった国際会議です。琵琶湖畔で開催された「世界湖沼環境会議(LECS’84)」において、国連環境計画(UNEP)のトルバ事務局長から、この国際会議を定期的に継続することの提言を受け、世界各地で2年に一度開催される国際会議になりました。参加者は、学界、政府、市民、NGO、企業などの多岐に渡り、私たちのような学生も多く参加する動きもみられます。世界の湖沼流域管理における科学的アプローチの促進に貢献するというLECS’84の目的を引継いで、湖沼とその流域の持続可能な管理について議論がなされ、世界的にも認知されています。
(一部、ILECホームページから引用しました。https://www.ilec.or.jp/activities/about-wlc/)
滋賀県関連プレゼン
会議では、オープニングセレモニーやテクニカルセッションで、滋賀県から湖沼の環境保全に向けた発表がありました。
オープニングセレモニーでは、江島副知事から、琵琶湖版SDGsであるマザーレイクゴールズ(MLGs)について紹介され、MLGsのコンセプトムービーが会場で放映されました。コンセプトムービー放映後には会場から大きな拍手が沸き起こりました。加えて江島副知事から、国連が定める国際デーとして「世界湖沼の日」を新たに制定することへの賛同の呼びかけがなされました。
テクニカルセッションでは、琵琶湖保全再生課の長村さんが、令和5年度に姉妹友好州提携55周年となるミシガン州との共同プレゼンテーションをされました。共同プレゼンテーションでは、湖沼の環境保全に向けた取組として、機運醸成の実践事例である「びわ湖の日」や市民協働の新たな取組であるMLGsの紹介、また次世代育成の取組として、滋賀県で行っている環境学習プログラムについて発表されました。
加えて、びわ湖フローティングスクールの安江所長から、中米ニカラグアとの共同プレゼンテーションがなされました。琵琶湖というフィールドを活用した独自の環境学習プログラムである学習船「うみのこ」の紹介をされたほか、ニカラグアからは、安江所長の発表に繋がる形で、令和3年度から琵琶湖の「うみのこ」をモデルとしたニカラグア版UMINOKOが実践されていることに関するビデオ発表がなされました。
また、琵琶湖環境科学研究センターの石川専門研究員から、琵琶湖における絶滅危惧種への気候変動の影響について研究結果の発表がされました。
【※「滋賀県関連プレゼン」の説明は滋賀県琵琶湖保全再生課にて作成】
スペシャルセッションについて
日本を中心として、ケニア・アメリカ・ハンガリー・ウガンダから約20名の学生が参加し、学生セッション当日までに約10回のオンライン会議を重ねました。
「若者がどのように環境活動へ持続的に参加できるのか」というビッグテーマを掲げ、各国の抱える教育/観光/環境などにおける問題提起のもと、90分間でディスカッションを繰り広げました。まず、各国参加者(チーム・個人)の行なっている活動と、それぞれが身近に感じている湖の紹介ののち、其々で用意したディスカッションテーマに基づいて他の国のアプローチを紹介しあい、解決に向けどのような要素が必要かを話し合いました。
日本からは、京都外国語大学/NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)所属の2名、そして立命館大学から2名の4名で構成されたチームがセッションオーガナイザーを務めました。当日は、ILECの科学員の方々を中心に多くの研究者の方々がオーディエンスとして参加、オンラインでの配信も含め約80人がYouth Sessionに足を運んでくださる結果となりました。
日本の「若者が継続的に環境活動へ参加するにはどうすれば良いか」という問題提起に対し、ケニアやハンガリーの学生から、具体的な現状の若者に関する質問をもらったのち、「若者同士が交流できる場を継続的に提供したり、今回のような国際的なつながりを持って活動を発信したりできれば彼らのモチベーションにも繋がるだろう。」「一方で、若者だけが活動をしていても意味がなく、大人も学生に耳を傾ける姿勢や学生ももちろんリスペクトの心を持って様々な機会を存分に使い、大人と繋がっていく姿勢が必要だ。」「簡単にプラスチックを減らす!などの声明だけでは足りない時代になってきている。具体的にどのように問題となっていることをデータとして、結果として成果を出していくのか、どのセクターの人も責任を持って意見していく、行動に移していくことが重要になってくる。」といった様々な角度での意見をいただきました。
オーディエンスの皆様からのコメントや意見をいただいた付箋。 セッション終了後、それを見ながらケニアの子と話している様子
参加して感じたこと、得たこと
今回は、初めてのYouth Session企画で、始まった頃は時差もある中での会議に模索する日々でした。教育のベースや湖、それぞれの環境問題への考えも違い、そこの擦り合わせを行なっていくのが最初の壁でした。また、アメリカの学生以外は基本的に英語が母語ではなかったため、コミュニケーションの齟齬ももちろんあったと思います。その中でも、それぞれが強い意志を持って行なってきた/行なっている活動についての紹介や環境活動に対する思いを共有する時間を重ねることで、次第に雰囲気もほぐれていき、当日のセッション終了後はみんなでハグをしていました。2年前に参加した際には感じられなかった対面で議論することの貴重さや大切さ、そして世界にはこんなにも多くの若者が毎日勉強を重ね、母国に対して何かできないか、と動いていることを改めて実感しました。また、2年後にはオーストラリアでの第20回世界湖沼会議が予定されていると発表がありました。私自身は社会人になっていると思いますが、卒業までの時間を使って2年後に向けたバトン渡しをすることが今後の使命だと思っています。今回限りで終わってしまうのではなく、今回の活動をより多くの人に知ってもらい、もっと多くの若者が自身の活動や思いを存分に表現できる場として、次回の世界湖沼会議に向けた引き継ぎを行なっていきたいです。
滋賀県から渡航したメンバーの一部
2段目左から、平安女学院大学の山本先生、立命館大/窪園、成安造形大/ 佐々木、京都外大/田邊、ILECの岡地さん
1段目左から、成安造形大/平良、京都外大/伊藤、立命館大/畠