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“きっかけは、MLGsから” 〜シン・びわ湖なう〜 vol.1 佐藤祐一さん

こんにちは。MLGs案内人の畠です。

今回は、「今の琵琶湖の健康診断書」として2015年から毎年発行されている「びわ湖なう」のMLGs版、「シン・びわ湖なう2022」を紹介します。
発行にあたってキーパーソンとなった佐藤祐一さん、三和伸彦さん、そして岸本直之さんのお三方にお話をお聞きしました。シリーズ三本立てでお送りします。
*これまでの「びわ湖なう」はこちらから、また「シン・びわ湖なう2022」はこちらから

第一弾は、滋賀県琵琶湖環境科学研究センター / 佐藤祐一さんです!

佐藤さんは、研究センターで研究員として勤めるかたわら、マザーレイクゴールズ(以下「MLGs」)の案内人代表として様々な活動を進めておられます。行政や研究者だけでなく、子ども向けのイベントやローカルな活動などにも積極的に参加される佐藤さんに「シン・びわ湖なう」の発行にあたった背景や思いをお聞きしました。
*MLGsなひと vol.1 佐藤さんの記事はこちらから

 

Q.「シン・びわ湖なう2022」について教えてください。

ー 科学的、そして客観的に、琵琶湖とそれにまつわる私たちの暮らしの状態と傾向をまとめたものです。元々「びわ湖なう」として2015年から毎年、その年の琵琶湖に関する健康診断として発行してきました。私は初期の構想段階から編集、完成に至るまでずっと担当してきましたが、今年はMLGsの立ち上げを受けて、MLGsの13ゴールを13名の専門家・研究者に評価していただく「シン・びわ湖なう2022」として新たに発行しました。

  「びわ湖なう」では、関係する事業を担当する行政部局が自己評価をしていましたが、「シン・びわ湖なう2022」では、行政外部や研究機関の専門家の方に評価をお願いした点が大きな違いです。今回評価をしてくださった専門家は、MLGsや滋賀県のこれまでの取り組みに大きく関わってこられた方々なので、より客観的で鋭い意見や評価が組み込まれたと考えています。

Q.「びわ湖なう」や「シン・びわ湖なう2022」作成に至った背景を教えてください。

ー 2000年代より以前は、水質悪化・外来種の増加・水草の増加・その他の問題などが個別に取り上げられ問題視されていましたが、近年はこれらが複雑に関係していて、個別に見ていても解決できないことが分かってきました。一方で、そうしたことを理解できるような資料がどこにもなかった。そこで、琵琶湖と暮らしの状況を、俯瞰的な視点、つまり鳥の目で見て、ざっくりとまとめて共有する資料が必要だと思ったんです。多くの人たちと琵琶湖の現状を共有して、一緒にこれからの琵琶湖をより良くするために、この「びわ湖なう」が必要でした。マザーレイクフォーラムびわコミ会議では、この資料を元に皆で話合い、次年度に向けて必要になる活動などの話し合いを重ねてきました。

 今回から名称を「シン・びわ湖なう」に変更しましたが、この「シン」は「新」「真」「深」など色々な意味が込められています。同じくMLGs案内人幹事の三和伸彦さんによるネーミングで、関係者の満場一致で決定しました。

2022年9月に開催された「MLGsみんなのBIWAKO会議/COP1」での全体意見交換(佐藤さん)

Q. 「びわ湖なう」作成までの活動で心に残っていることや今後繋いでいきたいことは何ですか。

ー 「びわ湖なう」の公表にあたり、そこで使われた図表の元データを誰でも使える形(EXCELやCSV形式)でオープンデータとして公開してきました。いわゆる、生の調査や研究の結果です。どなたでもアクセスでき、水質や琵琶湖の生態系などを研究されている方やもちろん、関心のある学生や市民団体などの皆さんにも参考になるかなと思います。これにはきっかけがあります。ある県職員に「びわ湖なう」の話をしたのですが、「行政から見た評価が中心となっているけれど、他の人はまた違う評価をするのではないか。同じ状況でも、評価は人によって色々のはず。グラフだけではなく、冊子に使われた元のデータも公開していくことが必要ではないか。」と言われました。自分たちの評価を押しつけるのではなく、色々な評価を許容することこそが必要だと感じ、その後2020年度以降からは元データもあわせて公開しています。行政が持っている情報はできるだけオープンにしよう、これからの滋賀県や琵琶湖をみんなと一緒に考えていきたい、そういった思いが強く私の中にありますし、今後もそんな思いが広がればいいなと思っています。

*オープンデータはこちらから

Q. 佐藤さんご自身や、MLGsに関する今後の展望を教えてください。

ー MLGsに関わる活動をもっと増やし、育てていきたいです。MLGs案内人は、私だけでなく様々なフィールドで活躍されている皆さんによって構成されています。その方達を筆頭に、今では小さな子どもたちから学生の皆さん、研究者など様々なフィールドの方が携わっていると感じます。そうした繋がりをより大切にしたいと思いますし、何かを始める「きっかけ」をぜひMLGsで見つけてもらえたら嬉しいです。

 

「MLGsみんなのBIWAKO会議/COP1」の分科会にて。高校生・大学生らと話し合いました!


 直近でいうと、NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)さんが中心となって考えてくれている「びわ湖の研究者になろうツアー」というものがあります。私も構想段階から色々と関わっていますが、子ども向けなので、IVUSAの大学生が「いかに子どもが主体的に学べるのか」というポイントで企画を検討している姿にはいつも感動します。私1人、誰か1人の力では到底今の状況を拡大していくのは限界があるので、もっともっと繋がりを増やして、MLGsに関わる活動を活性化していければいいなと思っています。

*2022年3月に行われた「びわ湖の研究者になろうツアー」はこちらから
また、10月30日にも開催しました。詳しくはこちらから

Q. 最後に、MLGsを今回初めて知る方々へのメッセージをお願いします!

ー 一見、SDGsと似ているMLGsですが、私の中では、MLGsは内容がローカルだからこそ使えるコミュニケーションツールだと思っています。ロゴを掲げたり、既存の活動にゴールアイコンを貼るだけではなく、MLGsは人の繋がり・活動・発見などの何かの「きっかけ」になるものです。滋賀県民、そして県外の人にも身近な琵琶湖の水や、周辺地域の問題など、各ゴールで可視化された課題を元に、「今の自分には何ができていて、今後何ができそうなのか」ということを是非考えてみてください。一緒に、様々なことをやってみましょう!!何かあれば、いつでもMLGs案内人に声をかけてください。皆さんで、一緒に作り、成長していくのがMLGsです。

西浅井エコツアーでの一幕 ハーブ王子と

 

最後までお読みいただきありがとうございました!
MLGsWEBでは様々な活動、イベント情報についても発信をしています。
ぜひ、ご覧いただきご参加ください。皆さんとお会いできますことを楽しみにしております!