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クミノマスターになろう!きぐみの積み木KUMINO講座レポート

こんにちは、学生ライターの浅田竣介(龍谷大学)です。

今回は、11月24日(金)にブランチ大津京内にあるまちづくりスポット大津で行われた「クミノマスターになろう!きぐみの積み木KUMINO講座」のレポートをします。

KUMINO(クミノ)とは、少し変わった形をした積み木で、「木組み」の仕組みを使って遊ぶおもちゃです。今回は遊ぶだけではなく、KUMINOが出来た背景や地域材利用の視点などを知っていただきたいと、特例認定NPO法人まちづくりスポット大津が主催でこの講座を開催されました。

前半はKUMINOを開発された株式会社KUMINOの井上慎也さんを講師に迎え、ご自身の経験からのKUMINOの開発の背景や伝えたい想いなどをお話しいただきました。後半は井上さんと一緒にKUMINOを実際に使って遊び、最後には大型造形物作りにチャレンジしました。

KUMINOとは??

KUMINOとは、大工さんが木と木を組み合わせて家を作るような「木組み」の仕組みを使った積み木です。ピースの形は1種類なのに、積むだけでなく「くむ」や「かむ」「はさむ」などの使い方で、大型の造形物を作れるほど無限の可能性のあるおもちゃです。
会場では、展示用として国内の様々な産地や樹種のKUMINOも見ることができました。実際に触れてみると、樹種や産地によって、色や模様はもちろん、重さや香りが違う事に驚きました。


触ってみて重さや香りを比べる参加者

KUMINOが出来たきっかけ

井上さんは、大学で森林生態学を学び、里山保全活動に出会いましたが、就職ではシステムエンジニアの道に進まれました。しかし、森に関わる仕事に携わりたいと退職し、職業訓練校にて木造建築を学びなおしたところ、卒業間近に木組みの積み木KUMINOのアイデアが閃いたそうです。


木材の価値を高めたいとおっしゃっていたのが印象的な井上さん

KUMINOは、東近江市永源寺地区で生まれました。設計だけして職人に任すのではなく、できるだけ産地に近い場所で制作し、ストーリーを持ったおもちゃになってほしい、という思いから、ご自身で製造も手掛けられ、また、おもちゃ作家として、自分の言葉で語り伝えることも大事にされているそうです。井上さんの大学での研究、就職されてからの経験、職業訓練校で身につけた技術、その全てが活かされているんだなと感じました。
事業が拡大するにつれ、ご自身でKUMINOを作ることは難しくなってきたそうですが、KUMINOに込められた想いを理解して制作をしてくれる事業者さんが全国で数か所出て来ており、これからも様々な産地のKUMINOが作られていくそうです。

樹種だけでなく、産地も様々

「森と人をつなぐかたち」

KUMINOの面白いところは、何と言っても1本1本全てのピースに「樹木の種類、学名、産地、製造年」が刻印されているところです。地域産材を使って遊ぶ、という木育の視点を持ったおもちゃであるとともに、さらに森と人をつなぐアイデアと仕掛けが施されています。
井上さんが開発されたアプリをダウンロードして、KUMINOの刻印を読み込むと、その木の産地の情報にたどり着けるようになっています。そのピースがどこからやって来たのか、元はどんな木だったかということを知ることができるそうです。アプリ内の情報がアップデートされたり、今後も色んな可能性が広がりそうです。

今自分が手に持つKUMINOがどこから来たものかという事を調べ、知ることにより、ただ積み木で遊ぶだけではなく、森林環境の問題を自分事として捉える機会となり、産地や樹木への関心を高めたいともおっしゃっておられました。

実際にKUMINOを触ってみよう!

会場でシートを広げ、まずは簡単に積み上げる体験からスタートしました。

簡単そうにみえましたが、ちょっとした土台の傾きやエアコンの風でも影響を受けてしまい、大人でも集中力が必要でした。倒れて「わー!」と声が出たり、高く積み上げている方に「すごーい!」と声をかけたり、一気に会場が和やかになりました。そして、KUMINOならではの組んで積み上げてみたり、はさんで長くしてみたりを体験した後、大きな造形物作りに挑戦しました。

大人をも真剣にさせ、誰かと一緒になって大きな物を作り上げる体験ができるおもちゃというのは、KUMINOならではの特徴だなと思いました。

今後の展望

地域の木を使って作って欲しいという声は各地に広がっており、日本のあらゆる地域の木を使ってKUMINOを制作されています。また、様々な素材でKUMINO制作を試しておられ、ウイスキーの樽でウイスキーの香りのするKUMINOを作ったこともあるそう。これからも、色んな樹種や木以外の素材も試してみたいとおっしゃっていました。

また、これからも子どもたちにモノづくりに興味を持って欲しい、形にないものを作る経験や素材を知る経験を沢山して欲しいと話す井上さん。
自分で作る経験は、楽しさだけでなく、モノづくりの大変さを知り、モノへの敬意も持てるそうです。

取材を終えて

地域産材で積み木を作っていると聞いたときは、SDGsの観点で、余った端材で作られたのかな?と思っていましたが、お話を伺うと、木の良さを知ってもらい、伝えるために、考え抜かれた積み木である事に驚きました。私自身、積み木は小さい頃に家にありましたが、その木がどこの木で何の種類かなんて考えたことがありませんでした。
ぜひ沢山の子どもたちにこの木がどこから来たのかな?ということも考えながら遊ぶ体験をしてほしいと思います。