こんにちは。
MLGs学生ライターの小野雅崇(立命館大学)です。
今回は、和菓子の「たねや」、バームクーヘンで有名な洋菓子の「クラブハリエ」を運営している「たねやグループ」さんに取材させていただきました。インタビューに応じてくださったのは、経営企画室の大村啓子さんです。
お菓子メーカとMLGs、一体どんな繋がりがあるのでしょうか?
今回訪れた「ラ コリーナ近江八幡」へ続く道。すでにワクワクが止まりません!
とても素敵な店舗ですね。ここ「ラ コリーナ近江八幡」について教えてください。
「ラ コリーナ近江八幡」は「自然に学ぶ」をコンセプトに、たねや・クラブハリエのフラッグシップ店として2015年にオープンしました。お菓子と自然をお楽しみいただけるよう、さまざまな仕掛けを施しています。
敷地内には、季節の和菓子を販売するショップやカフェのほか、クラブハリエの主力商品であるバームクーヘンの生地づくりや焼くところを間近で見学できるバームファクトリーもあります。できたてのバームクーヘンをお召し上がりいただけるカフェも併設していて、多くのお客さまに楽しんでいただいています。
バームファクトリーを上から見た様子。屋根が“バームクーヘン模様”になっています!
敷地内に入ると、田んぼを囲むように配置された建物たちが目に飛び込んできました。
ここは、どこか懐かしい景色でもありつつ、今の最先端の景色でもあると思っています。八幡山からつながる森づくり、ラ コリーナの景観づくりも自社で行っています。
森の中で自然に木々が生長する姿をこのラ コリーナでもみていただけるよう木や草花の管理をしています。
*キャンディーファームというグループ会社による
敷地中央の田んぼを大きく囲むように建物や通路が配置されています
お菓子作りとびわ湖には、どんな関わりがあるのでしょうか。
実は、お菓子作りは「水」が欠かせないという点で、自然の恵みそのものなんです。
商売をするにあたって、お店や敷地の真ん中はお客様の目につきやすい、いわば「一等地」。私たちはその「一等地」に自然を涵養し、ラ コリーナだけでなく会社全体として「自然に学ぶ」を実践しています。
ここ「ラ コリーナ」はイタリア語で「丘」という意味。
びわ湖のそばにあり、八幡山を背にするこの“丘”で「森づくり」や「里山」をテーマに、これからもお菓子と共に自然との関わりを深めていきたいと考えています。
会社として取り組んでいるとのことですが、具体的にどのような取り組みを行なっているのでしょうか。
私たちは、原材料の仕入れや製造、販売までを自社で手がけています。なので、社員一人ひとりが自然の恵みを活用し事業活動をしている自覚を持っています。
例えば、お菓子を製造する際に出る廃棄を減らす取り組みもそうですし、容器や資材の見直しを通じて紙やプラスチックの使用量の削減を目指すなど、全ての部署で担当者が 環境負担の低減や消費資源の削減を自分事として取り組んでいます。
プラスチックトレー(左)から紙製(右)に切り替える(たねやグループ提供)
自然と関わる中で、どのようなことを意識されているのでしょうか。
お菓子作りは自然の恵みである、原材料がないと始まりません。
また、私たちは、お菓子という商材を通じて、いろんな方と繋がっています。
社員や地域の方、関係企業の方々や大学生と共に田んぼで米づくりを行っています。
昨年は田植えから稲刈りまでの作業にのべ360人にご参加いただきました。
私たちは様々な面から美味しい食事が並ぶ食卓は“当たり前”ではないと危機感を持っています。
もちろんお菓子も同じです。
私たちの暮らしに欠かせない「食」や「農」について、いろいろな人とつながり、共に課題に取り組みたいと考えています。
今後の展望について教えてください。
2025年、びわ湖沿岸に「ラーゴ 大津」をオープンします。
“湖”を意味する店名がついたこのお店では、資源の循環やゼロカーボンを目指しています。それには、関係企業の方、取引先様などすべての方々と取り組まないと達成できないと思っています。
例えば、手提げ袋が有料化した際には、お客様からたくさんのお声をいただきました。結果としては、有料化する前と後では半分以上も(手提げ袋の)出荷が減ったのです。しかし、私たちの目標は減らすだけではありません。人と自然、共に生きるいのちの在り方を見つめ、大切にしたいと手提げ袋の売上の一部を森の再生、保全につなげる『たねや・クラブハリエ みんなでつくる森プロジェクト』を行っています。
菓子屋として美味しいお菓子を作りとどけることは大切なことで、それと同じぐらい私たちはこの地域が大好きで、大切に思っています。素晴らしい景色とそこに集まる生き物たち、この環境を守り伝えていくためにもみなさまと共に取り組んでいきたいと思います。
最後に、びわ湖に関わる全ての皆さんへ一言メッセージをお願いします。
今ある景色や食べ物など私たちが目にし口にしているものは、びわ湖や自然とつながっているように感じます。山も里も、ほったらかしは良くなくて、私たち人の手が加わり営みがあり豊かな里山がつくられます。
子どもの頃に遊んでいた景色のようにずっとびわ湖がきれいで、魚がいて、鳥がいて、昆虫もいる豊かな湖をどう引き継いでいくのか。皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思います。