MLGsニュース

MLGsなひと vol.5 上田隼也さん

こんにちは。
立命館守山高等学校の久徳大貴です。

今回、MLGsライターに初挑戦です。

「MLGsなひと」は、びわ湖版SDGsであるMother Lake Goals(MLGs)にどのような方が関わっているのか紹介するシリーズです。
MLGsに関する活動に中心に関わるMLGs案内人幹事の皆様にお話を伺います。

第5回は、一般社団法人インパクトラボ代表理事の上田隼也さんです。

一般社団法人インパクトラボについて教えてください

ーインパクトラボは、持続可能な社会の実現を目指して、研究・教育・実践の3つの視点で実績を積み上げることで、ソーシャル・インパクトを起こす研究室です。自治体や大学の方々と一緒に、様々な取り組みをしながら、SDGsに代表される社会問題を発見するきっかけや機会を若い世代とつくるような活動をしています。MLGs策定段階からワーキンググループに参加し、SDGsの取り組みで得られた知見などをMLGsにうまく反映できるように活動してきました。さらに、MLGsのロゴマークについては、インパクトラボのクリエイティブ・ディレクターの吉武さん(当時、立命館大学生)がデザインをするなどMLGsの普及・啓発にも組織的に深く関わっています。

日本の伝統色を使用したMLGsのロゴマーク

上田さんはなぜSDGsやMLGsに関心を持ったのですか

ー熊本県出身で、大学進学を機に滋賀県に来ました。SDGsに興味を持つきっかけとなったのは、大学に在学中の2016年4月におこった熊本震災です。ふるさとである熊本県益城町は、壊滅的な被害を受け、今も復興を進めています。当時、災害のボランティアをすることが、わたしができる復興支援なのか思い悩んだ記憶があります。その時にちょうど、国連の全ての加盟国がSDGsに同意し、途上国だけでなく、先進国も持続可能な社会の実現に動き始めていました。SDGsの「持続可能な社会」の考え方は、わたしが熊本地震で感じた課題意識と通じる部分がありました。それをきっかkに、純粋にSDGsを突き詰めていくとどのような世界が見えるのか興味をもち、今でもその問いを追い続けています。その過程で、社会起業家の育成や地域におけるエネルギーの問題が解決の中心になると思い、様々な方の協力を得ながら取り組みを進めています。

熊本地震の影響を受けた祖父母の家

そして、大学生でSDGsに関する活動をしていた際に、案内人幹事である三和さんとお話しする機会があり、びわ湖版SDGsの構想(当時は、まだそこまで固まっていませんでしたが…)について話しました。地元である熊本県と滋賀県を比較した時に、滋賀県民のびわ湖をはじめとした自然環境への意識の高さに驚きました。SDGsの視点でも、問題や弱みをどうにかするより、強みを伸ばす方が良いと言われています。滋賀県の強みである、びわ湖を軸とした文化や実践を、日本、世界に発信していくと良いのではないかと積極的に意見を伝えました。

SDGs未来都市に選ばれた滋賀県の取り組み

MLGs案内人幹事としてどのような役割を担っていますか

ー案内人幹事は、MLGs案内人の中心な仕事をしています。特に、MLGsを通じて若い世代が何かチャレンジしたい、関わってみたいというものをカタチにすることがわたしの活動の中心です。去年は、様々な企業の方々と大学生たちによるコラボや、ワークショップのコーディネーターや運営の手伝いをしました。他にも、MLGs学生ライターの取材についてどのように書いていくのかなどの全体的な方針を示すというのも活動の1つです。

琵琶湖博物館で開催されたMLGsライター講座の様子

MLGsについて実際にどのような活動をされていますか

ーSDGsもMLGsも活動をしていくにあたって、目指すべきゴールを明確にしながら、多くの方がわたしも解決できそうだ!というイメージを持ってもらうことが大切だと思っています。いつまでも抽象的な議論では、関わりたい方もどのように関わるかイメージがつきにくいので、より具体的な取り組み、活動に落とし込むことを意識しています。例えば、MLGsの視点から観光の在り方やまちの魅力の発信の仕方について考えていく「ツーリズム」は、MLGsを加速させる可能性をあると思っています。農家民泊や湖魚の漁師体験などは、付加価値やポテンシャルがある分野です。できるところから自治体の方や企業の方、大学の関係者と調査したり、実験的に実施したりと進めているところです。最近では、島根県立大学の大学生の方を対象として、びわ湖とSDGsツアーをインパクトラボのスタッフでコーディネートしました。そこでは、MLGsを琵琶湖博物館で学び、そこからびわ湖を一周しながら、地域特性を知る貴重な機会を作れたと思います。

島根県立大学「びわ湖とSDGsツアー」

どのような想いでMLGsの活動をされていますか

ー私たちの生活や活動で社会を良い方向に導いていくような仕組みが、草の根的にできていくとすごく良いと思っています。特に、若い世代を中心に、少しでも自分の行動をソーシャルグッドに変えていきたいという想いを大前提として、持続可能な社会を本気で実現していくためのリーダーが育てる仕組みや循環を作っていきたいと思って活動しています。

立命館守山高校の生徒と学校帰りにクリーンウォーク

びわ湖とのおすすめの関わり方を教えてください

ーMLGsのゴール10「地元も学びの場に」にもあるように、滋賀県やびわ湖を教科書とした関わり方が良いと思います。滋賀県やびわ湖は自然がとても豊かで様々な答えのない問いを立てる最高のフィールドだと思います。実際にびわ湖に訪れて学び、問いのない答えを立て、それについて考えていくという関わり方を若い世代の方と一緒に考えたいです。他にも、MLGs案内人や現地のキーパーソンの方と対話をするなどびわ湖を通じて人とのつながりを持つことも大事だと思います。

船の上から美しいびわ湖を考える

若い世代へのメッセージをお願いします

―大胆なチャレンジを―

ある問いに対して答えを早く見つけたもの勝ちというような考え方がありますが、世の中すぐに答えや解決策は見つからない、見つかりにくくなっていると思います。そのため、びわ湖を通じて社会問題など色々な課題を自分の興味のあることと照らし合わせながら自由に考え、色々な視点でチャレンジしてほしいです。特に、MLGsはまだできたばかりなので、若い世代の柔軟なアイデアと大胆なチャレンジを一緒にできればと思います。