こんにちは。
MLGs学生ライターの戸簾紗弥香(龍谷大学4回生)です。
今回は、マザーレイクゴールズ(MLGs)推進委員会の事務局を担当されている小林 匡哉さん(滋賀県琵琶湖環境部琵琶湖保全再生課)に、昨年末に完成した「MLGsツーリズム学習BOOK」についてのお話を伺いました。
最近は、SDGsは大学や高校の授業でも取り上げられる機会が増え、かなり聞き慣れた言葉になってきました。SDGsは、世界全体で解決していかなければならない課題を17個のゴールで表現しています。このようなSDGsの盛り上がりを受け、滋賀県らしい琵琶湖版SDGsであるマザーレイクゴールズ(Mother Lake Goals, MLGs)も、徐々に県民の関心が高まっていると感じています。MLGsは、琵琶湖を切り口として2030年の持続可能な社会の実現へ向けた13の独自のゴールに設定し、琵琶湖の環境を守りながら私たちの暮らしをどのように持続可能なものにするか県民一丸となって考えています。
そこで今回は、持続可能な社会を教育の視点で一歩を踏み出す、その後押しをしてくれる「MLGsツーリズム学習BOOK」について、これからの琵琶湖を守っていく世代となっていく私たち大学生がお話を伺いました。
MLGsツーリズム学習BOOKの詳細については、こちらをご覧ください。
1.「MLGsツーリズム学習BOOK」が作られた背景
私たちが小学校や中学校、高校で学ぶ学校教育の根幹を担っているのが学習指導要領です。新学習指導要領において、「持続可能な社会の創り手の育成」が記載され、SDGsの担い手を学校教育の中で育成することが目指されるようになりました。そのため、教育現場においてもSDGs学習のニーズは高いと言われています。そして、滋賀県では、琵琶湖版SDGsである「マザーレイクゴールズ(Mother Lake Goals, MLGs)」が策定されて以降、県内外の教育機関からMLGsをテーマとした環境学習の依頼を多く寄せられるようになったそうです。滋賀県で琵琶湖を中心とした教育旅行をより有意義なものになるように、事前学習として活用し、MLGsや滋賀県・琵琶湖の環境を学ぶとともに、児童・生徒が自分たちの生活や地域について考える探究的な学習につながるよう「MLGsツーリズム学習BOOK」が作成されました。
2.「 MLGsツーリズム学習BOOK」の特徴
「MLGsツーリズム学習BOOK」では、対象者が使いやすいようにいくつかの工夫や特徴があることがわかりました。
まず、手に取りやすいデザインになっていることです。バインダーに挟まっているようなレイアウトになっており、学習BOOKの配色もMLGsのロゴの色合いに合った優しいデザインとなっています。さらに、ひと目でMLGsや滋賀・琵琶湖について学ぶことができるようになっています。そのため、小学校高学年や中学生に理解してもらいやすいのはもちろんのこと、初めてMLGsや滋賀・琵琶湖について触れる人にも理解しやすくなっています。下記の写真にある「MLGsが目指す未来の琵琶湖」は滋賀県を背景に、イラストで伝わる取り組みとMLGs番号を添えていることで、どうしたらMLGsを達成することができるかイメージしやすくなっています。他にも環境学習ができる施設のリストも記載されているので、環境学習で取材など行う際に大変参考になります。
すでに学校で探究学習を経験したことがある方は共感してくださると思いますが、学習にはワークブックも重要になってきます。学習BOOKには、学習に活用できる専用ワークシートもついているので、授業や自主的な学びができるようになっています。そのため、学習に行き詰まったときでも、当初考えていたテーマや興味を持っていることを再確認することができます。
学習BOOKを授業にて活用するにあたっては、児童・生徒からの質問が出てもすぐに教員が答えられるよう、教員版の学習BOOKもあります。教員版には、児童・生徒用に書ききれなかった具体的な解説や授業を進行するにあたってのポイントなどが記載されています。そのため、初めて琵琶湖や環境学習を担当することになった先生もスムーズに授業をすすめることができるように配慮されています。
3.MLGsツーリズム学習BOOKの展望
最後に「MLGsツーリズム学習BOOK」の展望について伺いました。
今回の取り組みの最終的なゴールは、様々な人がいろんな所でMLGsの取り組みをし、その過程でこの学習BOOKを使っていただくことです。学習BOOKは児童・生徒が活動の一歩を踏み出す後押しや、学校現場の教員が児童・生徒に教える負担軽減など多くの役割を果たすことができます。また、学習BOOKの対象者は小学校高学年と中学生となっていますが、その子どもたちに関わる高校生・大学生・大人にもMLGsの存在を知っていただき、関心を持ってもらいたいです。まずは、MLGsに興味ある人からその周りの人へMLGsに関する情報が伝わることで、新しい発見や気づき・学びにもつながっていくと思います。時間はかかるかもしれないですが、少しずつゴールに近づいていくと思います。
そして、「MLGsツーリズム学習BOOK」は民間企業や県庁内の他部署との連携も進んでおり、県内外に学習BOOKの存在をアピールされています。今後も「MLGsツーリズム学習BOOK」をきっかけに県内外の人へアクションを促し、滋賀・琵琶湖について知ってもらうことで、より良い琵琶湖を次の世代へ守る輪が広がればいいなと教えて下さいました。
4.取材を終えての感想
最後に若い世代へのメッセージとして「身の回りの様々な生活環境に興味を持ってほしい」という言葉をいただきました。MLGs10番の「地元も流域学びの場に」とあるように、地元のことを知ることで、琵琶湖や地域に触れるきっかけになります。そして、若いうちから地元など生活環境について考えることが、これからの持続可能な社会づくりに重要になってくると教えていただきました。その結果、琵琶湖の大切さや歴史・文化について興味を持ち、好きになっていくのではないでしょうか。
今の社会は、先人たちがこうすれば良いだろうと考え、作ってきた社会です。メッセージを通して、若い世代が地元について考えることで、数十年後に若い世代が考えた社会が作られていくのだと考えさせられました。
MLGsツーリズム学習BOOKを学校の授業などでぜひご活用ください。