2025年2月19日、オンラインにて「~県内企業の先進事例から学ぶ~ MLGs活動のはじめ方ワークショップ」が開催されました。県内企業の多様な取り組みを共有することで、MLGs活動の広がりと実践へのヒントを得ることを目的としたものです。
企業の枠を超え、パネリスト、参加者共に多くの刺激を受けた当日の様子を紹介します。
MLGs最新情報講座〜MLGsの歩みと未来への展望
冒頭では、滋賀県理事員の三和‘COZY’伸彦さんがMLGsの成り立ちや最新情報について解説。 1977年の淡水赤潮の発生をきっかけに始まった琵琶湖保全活動がMLGsの基礎となり、2021年にMLGsが設立された経緯が説明されました。
1984年に滋賀県大津市で開催された「世界湖沼会議」の意義について触れ、2024年12月の国連総会で「世界湖沼の日」が正式に制定されたことを報告。
三和さんはMLGs活動の広がりへの感謝を述べ「 取り組みが広がっていく中で、本日もみなさんと一緒にこの取り組みを進められることを楽しみにしています」と、呼びかけ、開会しました。
環境への想いと実践 — 先進企業のパネルディスカッション
特定非営利活動法人まちづくりスポット大津マネージャー、MLGs案内人幹事の北井香氏さんがコーディネーターを務め、パネルディスカッションがスタートしました。
パネリストは、株式会社ミタカグループホールディングス代表取締役 三峰教代さん、株式会社がんさん営業部長 沖大介さん、 株式会社日吉 総務部経営企画課 課長 西村亜智さん3名です。
■株式会社ミタカグループホールディングス
株式会社ミタカグループホールディングスは、湖南市に本社を置き、一般廃棄物や産業廃棄物の収集・処理を手がける企業です。「人と地球を笑顔に」というミッションのもと、環境保全に積極的に取り組んでいます。
三峰さんは、MLGsの「地元も流域も学びの場に」「琵琶湖を楽しみ愛する人を増やそう」への注目を語り、プラスチックリサイクルワークショップ「プレシャスプラスチック」や、びわ湖ペーロン大会への参加を紹介。社員の環境意識向上や地域との交流を図る取り組みについて紹介しました。
また、北井さんからの「社内の変化」についての質問に対し、三峰さんは「ただ廃棄物を運ぶ会社ではなく、環境を守る会社としての意識が根付きつつある」と回答。社内でもゴミ分別の強化が進み、持続可能な環境づくりに向けた意識が高まっています。
■株式会社がんさん

株式会社がんさんは、1975年創業、リサイクル事業を中心に展開している企業です。地域との繋がりを重視し、環境問題への取り組みを行っています。
沖さんは、MLGsの取り組みとして「E-CAN Connectプログラム」を紹介。個々に取組み頑張るのではなく、企業や学校、福祉施設や地域住民が繋がり、みんなの活動で集められた缶のリサイクルを通じ、年間4トンのCO2削減を達成しています。特に、削減量の「見える化」により、参加者の環境意識を高める工夫について語りました。
また、子どもから大人まで楽しみながら学べるイベント「くさつ環境フェスタ」を実施。参加団体も年々増加し、地域とのつながりが強化されています。
北井さんから「連携を広げる上での工夫は?」という質問に対し、沖さんは「代表が直接アプローチし、ネットワークを広げている」と説明。さらに、「見える化」による効果で、企業や学校のモチベーションも向上していると語りました。
■株式会社日吉

株式会社日吉は、近江八幡市に本社を構え、創業70周年を迎える企業です。廃棄物の収集運搬や環境分析、水質検査など、多岐にわたる事業を展開し、特に琵琶湖の環境保全に力を入れています。
西村さんは、MLGsの取り組みとして「次世代よし」の理念を紹介。滋賀の伝統的な「三方よし」に「次世代よし」を加え、次世代への環境教育を重視しています。近江八幡市内の全小学校での環境教育や、ゴミ収集車を使った実地学習、若手職員が企画して行う子ども向けの環境学習研修などを実施。今年は外来魚やマイクロプラスチック問題をテーマにして、子どもたちに環境問題の理解を深めてもらう取り組みを進めています。
また、琵琶湖の水質保全に向けた環境DNA調査や真珠養殖の生態調査など、科学的なアプローチにも注力。事業を活かしたこれらの活動を通じて、地域社会と連携し、持続可能な環境づくりを目指していると説明しました。
先進企業3社との交流会・質問会
続いて「交流会・質問会」がスタート。15分間ずつ2回転で行われ、各々ブレイクアウトルームで活発な意見交換が行われました。
参加者たちがパネリストに質問するだけでなく、パネリストから参加者に質問を投げかける場面もあり、双方向のコミュニケーションが展開。意見交換の中で新たなアイデアやコラボレーションの可能性も浮上し、MLGs活動の新たな展開への期待が高まりました。
つながりと学びの先に見える可能性
再び全体ルームに集合し、北井さんからは参加者への感謝の言葉とともに、「話す中でアイデアが繋がりそう」「行政との連携や社外への発信で社員の意識が変わる可能性がある」と期待が述べられました。「それぞれ関わる一人一人がMLGsの実現に貢献している」との言葉で、MLGs活動の広がりへの意欲が伝わる挨拶となりました。
【パネリストからのコメント】
三峰さん(株式会社ミタカグループホールディングス)
「ブレイクアウトルームでは、コラボしたいネタがたくさん見つかりました。個別にお会いして実現したい目標も見つかり、非常に学びのあるイベント」と、今後のコラボレーションに前向きな姿勢を示しました。
沖さん(株式会社がんさん)
「2社さんともに素晴らしい発表で大変勉強になりました。新たなつながりも含め、さらにいろいろな活動を進めたい」と、新しい連携の可能性に期待を寄せていました。
西村さん(株式会社日吉)
「2社さんの取り組みは大変参考になりました。事業からさらに一歩踏み込んだ活動をやりたい」と述べ、自社の活動を進化させたい意向を示しました。
最後に、三和さんは、「3社の具体的な取り組みを通じて、MLGsの可能性を強く感じました。企業との連携で生まれる新たな取り組みにも期待しています」と、今後の展開に対する期待を語りました。