MLGsニュース

MLGsなひと vol.2三和伸彦さん

こんにちは。
MLGs案内人の畠 麻理奈です。

「MLGsなひと」は、びわ湖版SDGsであるMother Lake Goals(MLGs)にどのような方が関わっているのか紹介するシリーズです。
MLGsに関わる活動に中心的に関わるMLGs案内人幹事の皆様にお話を伺います。

第2回は、滋賀県琵琶湖政策・MLGs推進担当/琵琶湖環境部理事の三和伸彦さんです。

Q:琵琶湖環境部(特に、琵琶湖保全再生課)について教えてください。

ー水政策係、水質・生態系係、琵琶湖レジャー対策係の3つから成り立っています。水政策係は、琵琶湖と滋賀県の水資源に関することを中心に、琵琶湖に関連する行事や世界水フォーラム、世界湖沼会議に関わること、MLGsや琵琶湖の保全・再生のための施策計画などを担当しています。水質・生態系係は、湖沼水質保全計画やヨシ、水草などの対策や保全に関わることを、琵琶湖レジャー対策係は外来魚のリリース禁止やレジャー利用に関するローカルルールの認定など、地域の実態に応じた施策を進めています。

https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/gaiyou/soshiki/biwakokankyoubu/biwakohozensaiseika/

大津の朝の様子

Q:MLGs案内人幹事としてどのような役割を担われていますか?

ーMLGsの事務局として様々な事業やワークショップを行っています。現在は、色々なところから、「MLGsの話をしてほしい」という依頼が沢山きます。企業の研修など依頼内容は様々ですが、最近は修学旅行で訪問される中学校からの依頼も多いです。SDGsスタディーツアーなどで滋賀県のことを調べると、MLGsや環境にまつわるキーワードがあがるようで、直近では沖縄の中学校から問い合わせがありました。MLGsや滋賀県に注目していただいているな、と感じます。そのような方々へわかりやすく伝えたいですし、興味を持っていただいているので、その気持ちを後押しできるようにしたいと思っています。

田植えのイベントにも協力

 さらに、ホットな話題として「MLGs体操」が先日完成し、お披露目会がありました。この体操は、マザーレイクゴールズ広報大使である伊藤みきさん(元フリースタイルスキー・モーグル日本代表)にプロデュースいただき考案したものです。「なんで体操なの?」という疑問を抱かれると思うのですが、伊藤みきさんは、現役時代地球温暖化で世界中の雪が減っていることに危機感を持っておられました。なので、現役引退後に何か環境に関わることをしたいという思いを抱いていて、温室効果ガス削減のために、例えばみんなで冬場の室温の温度を少し下げ、空調に頼らない身体づくりをしようと考えたことがきっかけです。そのような背景や経緯を聞くと、自分とは距離がある、関係ないように見えるものでも、親近感が湧きますよね。

 案内人幹事をする上では、「こういうことをやりたいのですが…」と言われたものをみんなで大事に育てていくことを心がけています。今は、新しいMLGsのボードゲームを企画していて、リリースするための準備を進めています。

(左)振付家 鈴村英理子さん(右)伊藤みきさん
MLGs体操の「L」

Q:MLGsの前身であるマザーレイクフォーラムの取り組みについて教えてください。

マザーレイクフォーラムができた背景として、2000年に滋賀県が策定した「マザーレイク21計画」という2020年度までの中長期計画があります。第1期の2010年までは、公共事業を通じた琵琶湖の総合的な保全、整備が中心でしたが、第2期の見直しの際に、「暮らしと湖のつながりの再生」がキーワードとして挙がってきました。やはり、行政主導の取組には限界があり、県民・事業者の主体的な取組が重要、という声が多く上がったのです。そして、そこから計画最終年次の2020年度まで毎年マザーレイクフォーラム・びわコミ会議の取組を進めてきました。びわコミ会議を通じて出会った方々は今でも強い関わりがあります。びわコミ会議に参加された多くの方々の「琵琶湖が好き」「琵琶湖を守りたい」という気持ちから生まれた「びわ湖との約束」をもとに、MLGsが誕生したのです。

えきまちテラス長浜で講演する三和さん

Q:MLGsのワークショップについて教えてください。

ー 昨年の7月からMLGsは動き出したのですが、本当に色々な場面で浸透し始めているなぁと感じます。多くのワークショップがあるんですが、直近ではMLGsボードゲームを推してます。初期段階ではゲームの中身の難易度調整が難しいものでしたが、ボードゲームクリエイター、教材としてのボードゲームを製作する会社の社長、SNSなどで活発に発信活動をしているインフルエンサーなどが集まり、試作品のカードゲームをプレイしました。「待機時間が長すぎる」などのフィードバックを受け、ブラッシュアップしています。色々な子どもたちに刺さるゲームを作りたいですし、難しさと楽しさを体感してもらえるようにしたいですね。ワークショップや新しい企画が生まれる時は、熱い思いを持った様々な人がそれぞれのやり方で琵琶湖と関わろうとしている姿勢をひしひしと感じます。それに対して、私たちは実現に向けてできる限りの支援をしたいと思います。

ブランチ大津京でのMLGs体操お披露目会の様子

Q:最後に、若い世代へのメッセージをお願いします。

ー「安定を破ること」を意識してほしいと思います。決まったことをやるだけではなく、自分の手で作ったり、考えたりすることを大事にしてほしいですね。殻を破るという部分では、千利休の「守破離(しゅはり)」という言葉がよく知られていますが、私の座右の銘で「冷や酒と親父の小言は後で効く」という言葉も参考になるかもしれません。その時はわからなくても、後から「こういうことだったのか!」とわかることが多いという意味です。なので、めげずにたくさんチャレンジしてほしいですし、「そんなことをしてどうなるんだ」という声があってもそこはしっかり反省した上でチャレンジし続けてほしいです。昔から伝わる言葉を使いましたが、それは要するに普遍的であるということです。変えていくものと守っていくものをしっかり見極めつつ、若い時にしかできないことを思い切り、存分にしてほしいなと思います。