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琵琶湖から世界へー公益財団法人国際湖沼環境委員会の取り組みー

こんにちは。

MLGs案内人の畠 麻理奈です。

今回は、滋賀県と世界を繋いでいる公益財団法人国際湖沼環境委員会(以下、ILEC)の事業推進グループから、岡地さん・竹本さん・中井さんにお話を伺いました。

事業推進グループ リーダー:岡地 サブリーダー:竹本 

Q: ILECの歴史について教えてください。

(中井)1984年に滋賀県において世界の湖沼環境の保全と管理に関する「世界湖沼環境会議」が開催されたことをきっかけに、1986年に滋賀県が中心となってILECが設立されました。当時の世界湖沼環境会議において、国連環境計画のトルバ事務局長が、「会議の世代を越えた継承を実現し、世界が湖とその集水域の合理的な管理計画を策定することを支援するための国際委員会の設立」を提案したことが背景にあります。

ILECの使命は、世界の湖沼とその流域の環境の持続可能な管理と保全に対し、国際的な研究・調査、及び人材育成を通して貢献していくことです。昨年の第18回世界湖沼会議のびわ湖・滋賀スペシャルセッションで登壇いただいた、ウォルター・ラストさんをはじめとする著名な水資源や湖沼管理の専門家が、科学委員会として世界の湖沼流域管理に関する議論をリードしています。

Q:世界湖沼環境委員会の活動について教えてください。

(中井)私たちは主要な活動を三本柱で取り組んでいます。具体的には、湖沼流域管理に対する科学的知見の集約と普及、世界湖沼会議の開催での国際協力の推進活動、そして、研修活動による人材育成です。

(岡地)人材育成はJICAや環境省、滋賀県からの委託を受けて、主に途上国の行政担当者を対象に研修を行なっています。

(中井)淡水の90%が湖沼にあるという事実やその重要性への認識の薄さを問題視して、世界の水問題の中で湖沼を重要な位置づけにすることを目標として、私たちは第17回湖沼会議から積極的にその大切さを伝えています。最近では、インドネシア政府を中心として提案された「持続可能な湖沼管理」決議案が、2022年3月に国連環境総会UNEA5.2にて採択されました。プレスリリースとして世界中に告知を行なっており、5月には国際イベントをウェビナーで実施し、採択された決議案を広く発信するとともに今後の展望にかかる議論を行いました。

Q:MLGsとの出会いと、取り組み、そして感じた魅力はどのようなものでしたか。

(竹本・中井)MLGsと出会ったのは、第18回世界湖沼会議の滋賀スペシャルセッションの時だったと思います。ILECには統合的湖沼流域管理(通称:ILBM)というものがあり、その中の項目で「利害関係者の参加」というものがあります。自分の身近なところから、琵琶湖に関わることができるMLGsを通して湖沼について考えてもらえることは親和性があると思いました。MLGsは、世界湖沼会議にも大きく関わる内容だったので、セッションで取り上げることになりました。

Q:今後の世界湖沼会議について教えてください。

(中井)次回の第19回世界湖沼会議は2023年秋:ハンガリー・バラトンフュレドにて開催予定です。ちなみに、第3回の世界湖沼会議はハンガリーで実施されました。今回は「持続可能な利用に向けて科学、文化、ガバナンスを繋ぐ」というテーマで開催します。

(岡地)来年の湖沼会議を見据えて今年10月に「湖沼のエコツーリズムコンテスト」を開催します。エコツーリズムは、地域の関わりや貢献が大事になってくると思います。湖沼の価値が皆さんにとってどんなものなのか、地域の人たち気づかないような新しい発見や魅力をぜひ聞いてみたいです。そして、琵琶湖を保全していく気持ちを一緒に育てていきたいと思います。

(中井)8月のエントリーの後、9月に書類審査を行ない、上位選出の3組に10月15日に琵琶湖博物館ホールで発表をしていただきます。最優秀賞受賞者・グループは、2023年秋にハンガリーにて行われる第19回世界湖沼会議に登壇していただく予定です。渡航費などはILEC側の負担になりますので、多くの方からの応募をお待ちしております。

Q:琵琶湖とのおすすめの関わり方について教えてください

(岡地)滋賀県の魅力は自然だと思います。以前、観光の業界にいて、あまりにも京都の影に隠れているなあと思っていたのですが、コロナの影響で自然やアウトドアに目を向けてもらっています。MLGsはエコツーリズムに直結しています。

(竹本)琵琶湖=滋賀県のようになる都道府県は他にないと思います。琵琶湖のアピールは観光としてまだ足りてない気がします。県をあげて新しい観光としてさらにアピールできる気がします。

(岡地)JICAの研修でも、「なぜ環境保全の活動にボランティアが滋賀県や琵琶湖の周りにはたくさん人が集まってくるの?」ということを不思議に思われる方が多いです。環境教育が大切になってくるので、MLGsの10番:地元も流域も学びの場に、はすごく研修などにも役立つと思います。うみのこのアイデアがJICAニカラグア版うみのこの取り組みに繋がるなど海外の人の暮らしにも影響を与えていることは事実です。

(中井)ILECは世界と繋がっているのでMLGsを通してびわ湖で遊んだり、学ぶこともできると思います。琵琶湖と接点を持ってもらい、体験したことを発信して行ってほしいです。

Q:若者へのメッセージ

(岡地)当たり前に私たちの生活の中に琵琶湖は存在していますが、だからこそ気づかないことも多いですし、もう一度琵琶湖や滋賀県と向き合って、何をどうしていけばいいのかをぜひ考えていただきたいです。私たちが持っている思いを若い世代に引き継いでいきたいと思います。

(竹本)今の若い世代の活躍は目に見えてわかるほど素晴らしく、感銘を受けています。このような活動や琵琶湖の環境を維持していくには、やはり意識を持ってやっていくしかないです。そうした中でも、若い方を中心とした琵琶湖の環境や取り組み、気づきなどの情報の周知の仕方が大切になっていくかなと思います。

(中井)気づかぬうちに琵琶湖と接点を持って、自分達の楽しい活動=環境にもいい活動になっているのが一番理想だと思っています。若い世代を中心に、良い活動の循環ができていくことを願っています。

(岡地)なんでも楽しんでやっていただければと思います。皆様のコンテストへのご応募もお待ちしております!