MLGsニュース

MLGsなひと vol.3 北井香さん

こんにちは。
立命館大学の佐藤です。

「MLGsなひと」は、びわ湖版SDGsであるMother Lake Goals(MLGs)にどのような方が関わっているのか紹介するシリーズです。
MLGsに関わる活動において特に活躍されているMLGs案内人幹事の皆様にお話を伺う5本に渡るシリーズです。

第3回は、淡海の川づくりフォーラム実行委員長の北井香さんです。

Q:淡海の川づくりフォーラムについて教えてください。

川や水辺に関する活動の公開選考を行うフォーラムです。開催のきっかけは、2008年に流域治水条例制定に向けた流域治水検討委員会住民会議において、滋賀県の水害対策について住民の目線で議論したことでした。

 水害が起きたときに、自分が住んでいる場所がどれだけ川に近いのか、その川の危険性がどれだけあるのかなど、関心をもって知っていないと、いざという時に気づくのが遅くなります。備えておけば防げた被害も、備えが不十分では命に関わる場合だってあります。特に、近年では地域の川で遊ぶ機会も減り、川との距離ができています。
 このような現状に対して、川にまつわる活動やワークショップを通じて身近な川に親しみ意識しておくことも、水害から命を守るためには重要なのではという議論がされました。そこから、水害対策において行政は、河川整備などハード整備で危険度を減らすこととともに、川に関わる市民の活動を応援して盛り上げるソフト支援もしていくと良いのではないかという議論をしました。そして、その市民活動を応援する機会として「淡海の川づくりフォーラム」が始まりました。当初は、滋賀県が運営していましたが、数年後、住民会議で議論したメンバーで実行委員会を立ち上げ、滋賀県が事務局を担い、住民主体での開催体制をつくりあげていきました。

 淡海の川づくりフォーラムは今年で14回目になりますが、全国では「いい川・いい川づくりワークショップ」という20年以上行われている取り組みがあります。この取り組みは、全国の川にまつわる取り組みをプラス視点で選考し、グランプリを決めるというものですが、みんなの取り組みを聞いて知恵を共有するプロセスに主眼がおかれています。プラス視点での選考・プロセスを重視するというスタイルをお手本にして、滋賀県の取り組みに落とし込んだものが淡海の川づくりフォーラムです。

淡海の川づくりフォーラム

 参加者の中には、フォーラムで報告するのを目標に活動してきてくださる方や、活動を始めたばかりで活動のヒントを探しにくる方もいます。その場でかわす様々な方とのコミュニケーションがそれぞれの方のネットワークづくりに役立ったり、活動のエネルギーになったりしているなと感じます。毎年顔を見せてくださる方もいて、参加する方にとっても大事な機会になっているのではないかと思います。
 また、フォーラムの選考委員は、いろんな分野から川に関わってきている方で、活動についてそれぞれの知見から意見をくださいます。多様な分野の方がいて、少しでも川や水辺に接点があればそこから話が広がっていくのでいろいろなところに声をかけています。選考委員が公開討論をして、グランプリを決めるのですが、その過程の意見交換を大切にしています。選考を通じて、次の目標を見つけ、活動の励みになるような機会としてフォーラムを開催しています。

今年も8月27日(土)に開催を予定しています。
(今年の淡海の川づくりフォーラムについてはこちらから)

Q:びわ湖やMLGsとの関わりにはどのようなものがありますか。

ー淡海の川づくりフォーラムでは、滋賀県の川や水辺に関する活動に関わる方々にたくさんご発表いただいています。MLGsの前身になるマザーレイクフォーラムとも連携して、特別賞を設けてもらったり、特別賞を受賞した活動団体には、びわコミ会議で活動を発表する機会をつくったりしてもらっていました。びわコミ会議は、年に1度の会合で、びわ湖保全につながる様々な活動団体さんの意見交換の場でした。参加者のみなさんが、現状の課題を持ち寄って、前向きな意見を交わす機会になっていたと思います。開催主体は違いますが、その2つの活動が川や水辺、びわ湖の環境を守る活動のネットワーク形成やエネルギー充填を少しは支えてきたのでは、と思います。MLGsの活動も同じように連携しています。

Q:MLGs案内人幹事としての役割はどんなものですか。

ー昨年度、勤務先の「NPO法人まちづくりスポット大津」で行ったワークショップをきっかけにMLGs案内人幹事のお声掛けをいただきました。そのワークショップでは、立地や団体の特性を活かしてMLGsやびわ湖に関わる企画ができないかと考え、MLGsのことを学ぶとともに隣の事業者と連携し、SUPでびわ湖に触れる機会を作ってみました。家族連れを中心に熱心に参加いただき、びわ湖を楽しみ、びわ湖について考える機会をつくることができました。

 今の役割としては、MLGs推進計画を進める上で検討されていることを他の幹事の方と一緒に拝見しながら拝見して、検討するということなどをしています。
 今後は、昨年度のワークショップのように、びわ湖に触れる機会もつくっていきたいなと思っています。

Q:びわ湖とのおすすめの関わり方を教えてください。

ー湖岸に出て眺めているだけでもとても良い気分になれます。アクセスしやすいところにびわ湖に関わるスポットを見つけてゆっくり過ごせるといいのかなと感じます。
 実際に浜辺にでたら、プラスチックゴミについて目にすることがあったり、季節の草木や生き物を感じたり、湖岸に行くだけでもいろいろなびわ湖の自然環境に気づけます。
 近くの川などでもいいので、自然に少しでも触れる機会をつくることでびわ湖が身近なものになっていくと思います。

 

Q:最後に、若い世代へのメッセージをお願いします。

ー私自身、大学でのフィールド調査での色々な出会いから多くのことを教えていただきました。同じ現場で活動されているみなさんは、関心をもっている学生や若い世代の方に優しいです。行って大丈夫かなとか聞いてみたいけどどうしようと迷うことがあったら、行ってみるほうがいいと思います。
 もちろん、挨拶や自分の目的を伝えるなどの基本的なマナーは守りながらですが、一歩踏み出さないとそういうつながりは生まれてこないと思います。MLGsに関連して、ワークショップやイベントの機会などが多彩になりました。びわ湖やMLGsに関わるハードルは下がってきていると思うので、前向きに一歩踏み出してみてほしいです。