こんにちは。
MLGs学生ライターの小野雅崇(立命館大学)です。
今回は、滋賀県にある金融機関「滋賀中央信用金庫」さんに取材させていただきました。滋賀中央信用金庫さんでは、融資の実績に応じて滋賀県に寄付が行われる「MLGsローン」を発売されています。
実は2年前にも取材をしていて、今回は発売から2年経ったいま改めて反響や手応えなどについて伺ってきました。
今回、取材に答えてくださるのは滋賀中央信用金庫 地域支援部の髙野瀬 公人さん。
コロナ禍を経た経済の第一線で、MLGsと経済について何を感じてこられたのでしょうか。
滋賀中央信用金庫のシンボルマーク。シンボルカラーの水色は、琵琶湖の色をイメージされたものだという
まずはじめに「MLGsローン」について簡単に教えていただけますか
国としても省エネを推奨している昨今、資金力のある大企業は大胆に設備投資ができますが、地域の中小企業は積極的な投資が難しい状態にある場合が多いです。そういった企業に使っていただける融資を取り扱うことによって、地域の省エネを促進することを目的に「MLGsローン」を企画しました。
内部の企画会議では、2030年の持続可能社会へ向けた17のゴールを定めた「SDGs」にまつわる融資が他の金融機関で多数取り扱いされており、また対象が広範囲にわたることから「他の商品との差別化が難しい」「何をしたら良いのかよく分からないのではないか」といった声が上がったりもしました。
そこで、「琵琶湖を切り口とした2030年の持続可能社会へ向けたゴールを定めた「MLGs」ならより身近に感じてもらえるのでは」と開発に至ったのです。
MLGsローンの詳細はこちらから↓
https://www.shigachushin.jp/pgm/wp-content/uploads/2022/03/144b9cfdf2537cffcad7a0f7fc2ccb8f-1.pdf
MLGsローン発売から1年、反響はいかがでしたか
まず感じたのは、事業者様自身がMLGsを知らないケースが圧倒的に多いなという点です。MLGsを知っていて「MLGsローン」を選択されるというよりは、商品を選んでいただく過程でMLGsの認知が広がってきた印象を受けています。
具体的な案件の事例など、可能な範囲で教えていただけますか
営業車両を環境性能の高いハイブリッドや電気自動車(EV)へ置き換える案件が最も多く、ついで、環境性能の高い重機の導入が多く、こちらは置き換えだけでなく新規導入の案件もありました。この他だと、省エネやCO2 排出量の削減に配慮した業務用の大型冷蔵庫といった設備系の案件も取り扱いました。
一方で、「省エネには取組しなければならないが、借入による金利負担が増えると…」などといったお声もいただいているので、どんなお客様にも利用してもらえるような商品設計にしていかないといけないと感じています。
非財務情報の開示などが求められる現代において、環境への取り組みなど(数値にとらわれない指標)をどう評価しているのでしょうか
コロナにより多くの企業が影響を受ける中、今後ますます「本業支援」による事業者様への支援が重要となってきます。融資による資金提案はもちろんながら、各事業者様から課題をヒアリングし、販路拡大支援、補助金支援、事業承継支援など、金融支援以外による本業支援により、長い目で事業者様の支援を考えるようになりました。省エネについても事業者様の課題解決に必要な支援の一例です。
地域経済と「MLGs」についてどう捉えていますか
大手企業だとそうした取り組みも増えてきていますし、金融機関としても環境問題について非常に危機感を持っています。一方で、地元企業が複数の課題を抱える中で、環境への取り組みはどうしても後回しになってしまうのが現状です。
そうした中で、私たちが「MLGsローン」などを通じて地域の事業者様に環境への意識啓発を行うことで、経済と環境の両立ができると思います。私ども自身も、クールビズやこまめな消灯、各店舗まわりの朝の掃除といった身近なところから取り組みを進めています。
最後に、びわ湖に関わる全ての皆さんへ一言メッセージをお願いします
滋賀の一企業として、各企業がバラバラにやるよりも足並みを揃えて取り組むことが大事だと考えます。
金融機関は日頃から様々なお客様と向き合っており、省エネを推奨する専門家の方々とはまた違った立場から啓発活動は行えるのかなと感じています。
今後とも、県内の事業者様にご利用していただけやすいような商品を企画提案することが、地域金融機関としての役割であり、全員が同じ方向を向いて歩みを進めて行けるよう、積極的に取り組んでいきたいと思います。