MLGs WEB学生ライターの田中愛実・清水来未(近江兄弟社高等学校)です。今回は琵琶湖産の商品を販売し琵琶湖の魅力を発信している、野洲市にある「BIWAKO DAUGHTERS」の中川知美さんにお話を伺いました。(取材日:8月13日)
「琵琶湖のメロンパン」と名付けられたこのメロンパン。これを販売しているのは、野洲市にある「BIWAKO DAUGHTERS」だ。
BIWAKO DAUGHTERSにせまる
このお店は元々鮒寿司小屋として使われていた建物だ。しかし中川さんがお店を始めるにあたり、外国の港町にある魚屋さんと、スタジオジブリのアニメ映画『魔女の宅急便』にも登場し、主人公のキキが働くパン屋さんをモチーフに改造したという。
中川さんの祖父・父は漁師をしており、小さい頃から琵琶湖の魚を食べていたという。「お店がしたいというよりも『祖母や母から習いつつ開発してきた味を残したい!もっと食べて欲しい!』という思いでお店を開いた」と話す。
DAUGHTERSは直訳すると「姉妹」だが、祖母・母・私という縦の一括りとしての意味を込めて、このお店の名前が決められた。
お店で販売しているのは主に琵琶湖の魚の加工食品や琵琶湖の魚を挟んだパンだ。普段売られている佃煮などの魚は白いトレーに入っていて、初めて食べる人はわざわざ手に取らないだろうと考え、子供や若者の気を引くようなパッケージにこだわった。
またメニューにもこだわっている。「琵琶湖」の名前を冠したパンとしてメロンパンを選んだ理由は、子供に人気だからだ。少し癖のある鮒寿司も挟んでパンにすることで、多くの若者が食べてくれるという。5歳の子もペロッと食べてくれるそうだ。
透き通る青さの琵琶湖とくすんだ緑の琵琶湖
パッと目を引くこのパッケージの商品は「Biwako CHIPS・びわこちっぷす」だ。
これは中川さんの家で取れた琵琶湖の鮎を練り込んで作られたオリジナルスナック菓子だ。売り上げの1部はフナの稚児(ニゴロブナ)の放流事業にあてているという。
このパッケージは中川さん父がよく知る「昔の青く澄んだ琵琶湖」をイメージしているそうだ。中川さんは「幼い頃は近くの砂浜で泳げるほど透明で美しい琵琶湖だった」と当時を振り返る。今では、子供達に琵琶湖の塗り絵を渡した時に「絶対緑に塗るやろーー!」と笑っていた。
生まれた時からずっとそばにあった琵琶湖は、大きく変化したという。
中川さんは「元に戻すことはできないけれど、少しでもあの頃に近づけたい。40年前の美しかった琵琶湖を取り戻したい」と何度も話していた。
「この前もこんなにゴミが取れたんよ」と湖底から出てきたゴミの写真を見せてもらった。中川さん夫婦は事業の一環として、湖底清掃に取り組んでいる。黒い網を琵琶湖につけただけで網には大量の藻やゴミがつき、沈んでいる缶などのゴミをすくうことかできる。
琵琶湖への恩返し
最後にこれからチャレンジしていきたい事を聞いた。
「ただ単に『琵琶湖』ではなく、水が汚れてきている現状や、美しい魚がいるという琵琶湖の素晴らしいさなどに興味を持ってもらえる取り組みをしていきたい。お店に立つ事も好きだが、父や母の姿を見ているとお店にいるだけではなく、船に乗り自ら現場に出ていきたい」と中川さんは話す。
これからについて問うと、「もっと琵琶湖のことについて発信をしていきたい」と笑顔で語った。
この記事は、「MLGs ライター講座」の受講生の皆様によって取材・執筆いただきました。
取材協力:BIWAKO DAUGHTERS(https://biwakodaughters.jp/)