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「MLGsなヨシ刈り」体験の現場リポート!会場にはあんな人やこんな人も?

こんにちは。

MLGs学生ライターの小野雅崇(立命館大学)です。

今回は、2024年2月17日(土)に行われたイベント「MLGsなヨシ刈り*」体験のリポートをお送りします。

※記事中に、するどい刃先の画像が出てきます。苦手な方はご注意ください。
*ヨシは「アシ」とも呼ばれます。

会場へ向かう道中、なにやらヨシの向こうに人影が…?どうやらこの水路の奥が会場のようです

船を渡ったその先に、異世界の入り口が!?

イベント会場があるらしき方向からは、大きなラジオのような進行の声と、何やら賑やかそうな人々のざわめきが聞こえてきます。会場へ向かうには、どうやら目の前にある舟を渡るしかないようです。


会場へ向かう、船を介して川向こうへ渡る一本道

船を渡ると、その先には2〜3メートルもあろうかという背の高い植物があたり一面に成育しています。そう、これがヨシです。主催の宮尾さんによると、このヨシを刈ることがMLGsに繋がるんだとか…!


成人男性の身長を大きく上回るヨシ

ラジオのようなポップな進行の正体

ヨシの茂みの向こうから聞こえていた、ラジオのような声の正体は、このイベントを主催する「まるやまの自然と文化を守る会」の宮尾陽介さんでした。私たちが到着した頃には、すでに多くの参加者の方がヨシ刈りを体験中!宮尾陽介さんは、ヨシ刈りをする皆さんの「作業用BGMのように話している」とのことです。


ヨシの魅力とヨシ刈りを解説する宮尾さん

人生初の「ヨシ刈り」体験!

早速、人生初となる「ヨシ刈り」体験をさせていただきました。まず渡されたのが、軍手と鎌。なかなか触ることのない道具なだけに、周囲のヨシも相まって、異世界に来たような感覚です。


なんと、宮尾さん直々に教えていただけることに!

会場を見渡してみると、ヨシを刈っている人、束ねている人、運んでいる人が見受けられました。お話を聞くに、広い場所を刈り取るので、「刈る人が2~3人につき、束ねる人が1人くらいになるよう、適宜役割を交替しながら作業をすると効率が良い」と、イベント開始時にレクチャーされていたようです。私は、鎌を片手に持ち、ヨシを刈りとる役を務めることになりました。

まず、群生するヨシを数本つかみ、束にして片手で固定します。
ヨシをつかみ、片手で固定する様子

次に、根っこの部分に下側から鎌の刃を当てます。この際、勢い余って自分の方に向かってこないよう、注意が必要です。

鎌の刃を根元に当てて、切断する箇所を決める様子。人生初のヨシ刈りの瞬間です

ここまで準備ができたら、あとは勢いをつけて刃先を手前側に引くだけ。ヨシはこの時期、陸上に生えている部分が乾燥するため、とても小さい力で刈り取ることができました。ただ、まだ鎌初心者のため、複数のヨシを一度に刈るのは難しそうです。片手で固定したヨシの根本を、数本ずつ丁寧に刈り取っていきます。

刈り取ったヨシは、みんなで協力して集積する箇所に集めます。たくさんの参加者さんがいらっしゃるので、集まるのもスピーディーです。

刈り取ったヨシは、同じ箇所に集めていきます

その後、束にする人がある程度の量をまとめ、一つのまとまりでくくります。高さがあるので、まとめるのも大変そうです。

ヨシの高さは、成人男性の身長を優に超えます

一つの束に括られたヨシは、円錐状に立てかける「丸立て」という伝統的な手法で乾燥させます。昔は、この「丸立て」が複数立てられた景色が風物詩だったようです。どこか遠い、歴史の風を感じるような気がしてきました。


「丸立て」

今回のイベントで刈られたヨシは、なんと2025年の大阪・関西万博の小山館で使用される予定だそうです。自分たちが刈ったヨシが万博で活用されるなんて、まるで命のバトンを繋いでいるようですね!

参加者の声「楽しかった」「今後の活用に期待」

今回のイベントには、小さなお子さんを連れた親子や、黙々と作業をする成人男性の集団、奈良県からきたという女性など、さまざまな参加者の姿がみられました。

昨年もこのイベントに参加したという母親のグループからは「滋賀人だけどヨシを知らなくて(ヨシを)活用していると聞いてきた」「なかなか大変な作業。子ども4人は黙々と作業していて、良い経験になったと思う」との声が上がりました。一方、お母さんと一緒に来たというお子さんは「楽しかった。(ヨシを刈るのにいる力が)軽かった」と自らの腕力と作業の魅力をアピール。兄弟の上の子は、インタビュー中も一生懸命、作業をしていました。
会場には、大成建設の社員さんの姿も。大阪・関西万博の「いのちをつむぐ」テーマ館で設計や工事を担当しているという方たちは、休日を利用して参加したといいます。設計を担当している男性は「結構大変だ。思っていたよりまっすぐで長くて、美しい材料だと感じた」と感想を述べた上で、「今後活用の幅が増えていってもらいたい」と期待をにじませました。

編集後記

今回のイベントでは、人生で初めてヨシという植物に触れ、鎌をふり、大阪・関西万博で使用される素材を収穫しました。この作業自体は毎年行われていて、びわ湖の環境保全に貢献しているとのこと。まさに「MLGsなヨシ刈り」ですね。

また、作業のかたわらで聞こえてきた、主催の宮尾さんの“ヨシ話”もとても勉強になりました。お子さんから大人まで多様な参加者さんと「ヨシを通じた」お話をさせてもらう中で「楽しかった」「ヨシの魅力に触れられた」とする声も上がり、活動の輪が広がっていくのを感じることができたのもイベントの魅力です。

今回のヨシ刈りで収穫されたヨシは、今後さまざまな形で活用が見込まれています。2025年の大阪・関西万博へは、建物の茅葺き屋根の素材として提供されるとのこと。
MLGsの価値が、ヨシを通じて世界に発信されるのが楽しみです!