こんにちは。
MLGs学生ライターの稲垣虹哉(立命館大学)です。
今回は、2023年9月18日に開催された「MLGsみんなのBIWAKO会議/COP2」の第3分科会「びわ湖のプラごみ問題、何が問題?」の登壇者としてご参加された「くうのるくらすの創造舎」の南村多津恵さんにインタビューしました。
普段、どのような活動をされていますか?
最近では主に交通関係で活動していることが多いです。2009年から「輪の国びわ湖推進協議会」という団体で活動しています。この団体は、市民の皆さんに自転車を好きになってもらい、日常生活でももっと自転車を利用しよう、それを通してまちづくりにつなげていこう、という取組を行っています。
また、「(一社)滋賀グリーン活動ネットワーク」の「エコ交通研究会」で、企業や行政と協力しながら、エコ通勤の推進など、滋賀の交通をもっとエコロジーにしようということを目的に活動しています。
加えて、去年に「やさしい交通しが」(人と環境にやさしい交通まちづくりプラットフォーム滋賀)を立ち上げ、2024年4月から近江鉄道線が上下分離となる(沿線自治体が鉄道施設の所有者となった)ことを受けて、市民の方にもっと興味を持っていただいて、近江鉄道線をまちづくりに活かしていこうといった企画も行っています。
BIWAKO会議に参加された感想を教えてください
▼南村さんが参加された「MLGsみんなのBIWAKO会議/COP2」についてはこちらから
▼南村さんが登壇された第3分科会「びわ湖のプラごみ問題、何が問題?」についてはこちら
非常に勉強になりましたね。私自身、最近はゴミ問題ではなく、交通関係の活動が中心になっていたこともあって、「もっと頑張らないとな」と思いました。
特に、「ゴミを減らすために社会の仕組みを整える」ために市民が行動することの大切さを再認識しました。分科会の中で、原田禎夫先生(同志社大学教授)が仰っていたことがとても良かったです。こういった社会を作っていくためには、どうしても行政によるしっかりとした仕組みづくりが必要になりますが、なかなか行政が動かないこともあります。そこで決め手になるのは、市民が行政の動きを後押しすることです。市民がどんな活動をしているのか、どう努力をしているのかを具体的に示すことで、行政が動くきっかけにもなり、社会の仕組みが形作られていくということを改めて学べた良い機会になりました。
また、この会議に参加してくださった方たちは、もちろんゴミ問題などの環境問題、MLGsに興味があるかとは思いますが、参加していない人たちに、ここで学んだことをどのような形で伝えていこうかということは課題として考えさせられました。
BIWAKO会議で得たこと、ご自身の活動に活かせそうなことを教えてください
さっき言ったことと被ってしまいますが、「市民が行政を後押しする」ということを意識していきたいです。
行政の方はどうしても「データ、裏付けがないと動けない」という状況になりがちです。ですが、市民はそれに対して「こんなことをしてくれ」「早く調査をしてほしい」と非難するだけではいけないと思います。市民の方から積極的に調査をして「調査をしたらこんな結果になったから、こんなことをしてほしい」「私たちはこれをするから行政はあれをしてほしい」というように、自分たちでできることを前面に押し出しながら、行政が動くきっかけを作っていくことが大事だと思います。
赤野井湾湖底ごみ調査(赤野井湾再生プロジェクト主催行事)に参加
琵琶湖とのおすすめの関わり方は何ですか?
サイクリストとしてはやはり、「ビワイチ」を紹介したいです! ビワイチは、琵琶湖一周約200km(または北湖一周の約160km)のコースをサイクリングすることです。
琵琶湖には車で行くという人が多いんですけど、ぜひ自転車で行ってほしいです。車だと、まず〇〇に行って、次に△△に行って……といった感じでスポットごとでの関わりになるかと思うんですが、自転車だと、琵琶湖やその周辺を線や面で、体で直に感じることができます。車とは全く違う景色と体験を五感で楽しむことができますよ。
健康な人であれば、初心者でも北湖一周なら一泊二日で走ることができます。反時計回りに走ると、より湖に近い位置を走れるのでおすすめです。ぜひ性能のいいスポーツバイクをレンタルして楽しんでみてください。シティサイクル(ママチャリ)しか乗ったことがなかったら自転車の概念が変わり世界が広がりますよ。
季節ごとに違った自然を見られるのがビワイチの良さでもあります。ビワイチにおすすめの季節はズバリ春と秋です! 特に4月下旬あたりがおすすめです。ノウルシという花が咲いています。この黄色い花が一面に咲いている風景はとても綺麗です! 秋はヒガンバナや紅葉など、春とは違った風景がありますよ。
ビワイチをサポートする情報は私たち輪の国びわ湖推進協議会が運営する「びわ湖1周ウェブサイト」https://www.biwako1.jp/ にバッチリ載っているので参考にしてください。
今後の活動の展開などを教えてください
「みんなのBIWAKO会議」でも話題になった環境(特にゴミ)問題については、リサイクルに頼ることのない「ゴミが出ない社会」を目指して、情報発信などの活動をしていきたいです。
大学を卒業してすぐ、友達とゴミを追いかけてみるという活動をしていました。そこでゴミ焼却場や処分場を訪問したことがきっかけです。京都のリサイクル施設では作業体験をさせてもらいました。そこでは、一括収集された缶・ビン・ペットボトルを分別しているのですが、大量のリサイクルゴミがベルトコンベアで果てしなく押し寄せてきて気が遠くなりました。中には生ゴミや家電やありとあらゆるゴミが混ざっていて、危険で大変な作業を障がい者の皆さんが手でされていました。そこでの低賃金・重労働の実態を体感して、「私たちの便利な社会は弱者の犠牲の上に成り立っている」と気づきました。「リサイクルより前に、ゴミを減らしていくべきだ」とそのときに決意しました。
ゴミを減らす活動として、以前京都で活動していた際に行っていた、「エコ地蔵盆」というものがあります。「地蔵盆」は、京都や滋賀の伝統的なお祭りで、守り神であるお地蔵さんをおまつりして、子どもの健やかな成長を祈るものですが、これにエコの要素を取り入れたものです。たとえば飲み物を飲む時も、ペットボトルを配るのではなくて、公民館にあるカップを使うなどの取組ができます。
こういった類のものを滋賀でもできないかと模索していきたいです。
エコ地蔵盆
https://kankyoshimin.org/activity/life-style/activity-14/
最後に、若い世代へのメッセージをお願いします!
ゴミ問題や交通関係など、環境問題の中には、マイボトル、マイタッパー、自転車など個人のレベルで気軽に始められるものもたくさんあります。
そんなことを自分一人がやっても仕方がないと思うかもしれませんが、それをきっかけに活動の輪を広げて社会変革につなげていくのです。
パン屋で買い物(トレイの上に持参した容器を置いてプラ袋削減)
これからは若い世代の皆さんが中心となって、環境やMLGsに関わる活動をぜひ引っ張ってほしいと思います。
私たちは環境をここまで悪くした責任世代であり、若い皆さんには本当に申し訳ないと思っています。自分にできる限りの責任は果たしたいので、これまでの活動の蓄積を活かして、次世代のみんなの活動を後押ししていきますから。