こんにちは。
学生ライターの佐藤(立命館大学)です。
今回は、1月20日に大津駅のTHE CARENDERで開催された “ジブリアニメから考える「自然と人との共生」トークカフェ” の様子をお伝えします。
このイベントでは、「風の谷のナウシカ」と「もののけ姫」の2つの作品から自然と人との共生について考えました。
はじめに トークカフェとは
イベントの開催にあたり、琵琶湖環境科学研究センターの佐藤祐一さんより今回のイベントについてお話していただきました。今回のテーマは「自然と人との共生」。今回のイベントの特徴として、「ジブリアニメ」と「トークカフェ」という今までのワークショップとは違う切り口があります。初めての試みでドキドキしていると話されていました。今回の「トークカフェ」は、「哲学対話」の方法を参考にしており、
- 何を言ってもいい(恥ずかしさの壁をなくして話す)
- 人のいうことを否定・批判しない
- 発言しなくてもいい(聞いているだけでもいい)
- 問いかけを大事にする
- 人が話している間はしゃべらない
といったルールのもと、答えを無理にまとめるのではなく、対話を大事にしたスタイルで進められました。
ナウシカが守りたかったもの
まずは、佐藤祐一さんより「風の谷のナウシカ(漫画版)」にみる自然と人との共生についてお話いただきました。「風の谷のナウシカ」のお話の中で印象的だったのが、われわれ人間は自然界を清浄と汚濁に分けてコントロールしていないかという視点です。私たちは日々、環境保全といって自然を管理していますが、管理はコントロールとは違うのでしょうか。その境目はどこでしょうか。今までの自分の活動を振り返りながら考えさせられました。
「もののけ姫」が挑んだ環境問題
次に、滋賀県立大学の瀧健太郎さんより「もののけ姫」にみる自然と人との共生についてお話いただきました。「もののけ姫」の中で印象的だったのは、森と人とが争わない道はないのかという問いです。現在は自然を守ろうという活動がされていますが、美しい自然とは誰からみた自然なのか、その自然のあり方は人間の理想とする形ではないのか、一方で自然にすべてをゆだねてもいいのか、人と自然とのあり方について考えさせられました。
トークカフェ
2人の話を聞き、みんなで感じたことについて話しました。
トークカフェでの話の一部分になりますが、ご紹介させていただきます。
「私たちは、植物や動物を食べて生きている。人と自然は意識せずとも相互に作用し、ともに生きていると思う。最近になり、共生が注目されているのは、人間の価値観や倫理観に基づく考え方なのではないか。」
「私たちは自然に生きさせてもらっている。自然への感謝や畏怖の念が大切なのではないか。」
「多文化共生など様々なところで共生という言葉が使われているが、自然学の共生ではどちらも絶滅しなければいいという側面がある。もともとは平等だったのに、人間が中心的な考え方が当たり前になっている。」
「自然との共生という言葉はきれいすぎて胡散臭い。自然は不確実なものであり、それを受容していくことが必要なのではないか。」
静かな空間の中、それぞれが話を聞いて感じたことを話し、あらたな問いを投げかけて時間が過ぎていきました。特に、「共生とはなんだろう?」という問いに対して様々な想いや意見がでてきました。最初の説明でもあったように、「答え」はありません。聞いている参加者も一人ひとりが自分の考えを深めていく時間になったと思います。
取材を終えて
今回参加させていただき、自然や環境がどうあるのか立ち止まって考えることができました。「共生」や「保全」など言葉にするのは簡単ですが、そのきれいにまとめられた言葉の中で何のためにその活動をするのか、一度このように対話しながら考えると新たな発見があると思います。今回のトークカフェで参加者のみなさんの話を聞きながら、答えのない問いで少し「もやっ」とした部分がありました。この「もやっ」とした部分がこれからの活動や生活にもつながる問いになっていくのだと思います。今回は参加者の方の話を一部ご紹介しましたが、皆さん自身、共生とは何か、管理とコントロールの境目はどこにあるのか、一度考えてみていただけたらと思います。