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「琵琶湖一周清掃大作戦」を実施しました!

MLGsライターの栗山瑠風(IVUSA:NPO法人国際ボランティア学生協会)です。

3月7日から10日にかけての4日間、IVUSA学生211名で「琵琶湖一周清掃大作戦」を実施しました。

活動背景

近年の深刻な社会問題である、ごみ問題。この問題と向き合うために長年、世界中で様々な対策を行っていますが、大量生産・大量消費、大量廃棄の社会構造への依存からは抜け出せずにいるのが現状です。ごみ問題の中でも、海洋ごみの問題やマイクロプラスチックごみの問題はよく注目されていますが、琵琶湖でも湖岸に漂着するごみの量は多く、問題となっています。そんな中、IVUSAでは2021年から年に2回、琵琶湖の北部(長浜市・米原市・彦根市)を中心に計6回の湖岸の清掃活動を行い、約400名の大学生で、可燃ごみ約1,700袋、不燃ごみ約500袋分を清掃しました。しかし、下の写真から分かるように何度清掃しても、ごみが琵琶湖の湖岸に漂着してしまいます。


半年前に清掃した直後の彦根市湖岸


清掃の半年後の彦根市湖岸

ごみ拾いは重要な取り組みではありますが、あくまで最後の対処療法であり、ごみを拾うだけでは解決しないため、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会構造自体を見直していく必要があると考えています。そこで、日本ではまだあまり馴染みのない言葉ですが、「ゼロ・ウェイスト」という考え方をまずは自分たちが実践し、その理念を自分たちから発信して、広めていくことが重要だと考えました。

【ゼロウェイストについての参照ページ】
Ethical Choice/ゼロウェイスト生活とは?今日から実践できる5Rのアイディアを紹介https://exidea.co.jp/ethicalchoice/journal/sustainable/zero-waste-and-5r/

そこで、今回の琵琶湖清掃活動では、2つの目標を掲げることにしました。
①私たちの活動に少しでも多くの注目が集まるように、“琵琶湖一周清掃”という大規模な活動を実施する

②ごみを極力減らすという「ゼロ・ウェイスト」理念に沿って、自分たちの清掃活動のあり方を見直す
これは、「ペットボトル飲料を活動に参加するまでの道中で購入する」「お弁当を食べるとプラスチックの空箱が大量に出てしまう」など、消費行動をしている以上、ごみを生み出してしまう状況はどうしても存在してしまいます。しかし、ごみを全く出さないことは難しくても、ごみを出来るだけ生み出さないようするために、“自分たちにできることは何か”ということを考えて実践することにしました。

具体的に取り入れたこと
・自炊で使用した食器を洗う際のスポンジをプラスチック製のものから、自然由来のヘチマのたわしを使用する
・バイオマスの養生テープを使用する
・参加者が全員マイボトルを持参する
・竹製の容器を事前にお店に持ち込み、お弁当を発注する
・環境負荷の少ないごみ袋の使用
この5つを導入しました。



活動で実践したゼロ・ウェイスト(へちまのたわし)


活動で実践したゼロ・ウェイスト(竹製の容器のお弁当箱)

事前の準備

清掃活動は4日間ですが、この活動を円滑に進めるための準備や「ゼロ・ウェイスト」の理念の浸透のために、半年ほど前から様々な取り組みを行ってきました。

清掃活動に参加するメンバー全体に「ゼロ・ウェイスト」の考え方を浸透させるために、参加する全員がそれぞれ自分たちの生活のあり方を見直してもらいました。また、個人でできる取り組みを、SNSを通じて発信していく「ゼロ・ウェイストチャレンジ」を実施しました。

例えば、いらなくなった衣類でたわしを作成する、ペットボトルを買わずにマイボトルを日常から持参する、普段廃棄している野菜の切れ端(白菜の芯など)を使って料理をするなどを行いました。


ゼロ・ウェイストチャレンジを発信している様子
https://www.instagram.com/ivusa_biwako

活動当日

活動に参加した大学生たち211名は、琵琶湖の西岸121名・東岸90名に分かれて清掃活動を行いました。

1日目/長浜市/高島市
2日目/米原市・彦根市/高島市・大津市
3日目/彦根市・近江八幡市・野洲市・守山市/草津市・大津市
最終日/野洲市・守山市・大津市


湖岸のごみの様子


1日平均で10数km歩くことが事前から分かっていたので、活動中に筋肉痛で歩けなくなることを防ぐために、直前の約2ヶ月間は長距離を歩ける身体づくりをしていました。そのため、長距離歩き続けることは、そこまで苦ではありませんでしたが、活動3日目は疲労と吹雪の中での清掃だったため、かなり大変な活動となりました。
そんな中、「先日、皆さんの活動が取り上げられたテレビの放送を見ました!応援しています!」と地域の方から声をかけていただき、自分たちの活動が意味のあるものだと感じ、乗り切ることができました。


清掃の様子(雪が降ってきた時)

活動最終日

活動最終日は、「びわ湖プロジェクト2024」と題して、読売テレビ24時間テレビチャリティ事務局と協力して清掃活動を行いました。読売テレビ24時間テレビで募集した約30名のボランティアと、IVUSA学生約200名が、大津市・守山市・野洲市を清掃しました。IVUSAの学生たちは、身体の疲労がピークに達していましたが、お互いに声を掛け合いながら歩み続け、全員が「道の駅 びわ湖大橋 米プラザ」で合流し、初めて一つの場所に集まり、お互いに称え合いました。その後、MLGs(マザーレイクゴールズ)をからだで表現するMLGs体操を行いました。

閉会式の写真

昼食後は、琵琶湖博物館の特別研究員の中井克樹先生から環境問題に関する授業をしていただきました。琵琶湖を取り巻く環境問題は、ごみの問題だけでなく、「水質の問題」「外来種の問題」なども存在していることや、そもそも環境の問題は突発的に発生することはなく、人間が日々の生活で生み出した様々な要素が積み重なった結果、生じているものだとお話されていました。その話を聞いて、環境問題とどのように向き合い、改善していくべきなのかを改めて考える機会となりました。


SP授業の様子

その後は、ytvサステナビリティプロジェクトチームによるワークショップが行われ、清掃中に拾ったマイクロプラスチックごみとテレビ局で使用して不要となったフリップを使い、フォトフレームを作成しました。本来は捨てられるはずの製品に新たな価値を与えて再生することを「アップサイクル」と言います。参加した学生からは「バラバラに落ちているごみが1つの作品として生まれ変わる様子がおもしろいと思った」という感想を聞くことができました。


ワークショップの様子

成果

【ごみ袋数】

【回収総量】 549袋
【総清掃距離】 176.6km

市ごとのごみの回収量ではないことや、作業人数や作業時間が全て均一ではないので、大雑把な比較しかできませんが、長浜市が1つの市で最もごみの量が多く、次いで米原市・彦根市が多いです。なぜ、琵琶湖の北東にごみが集中しているのか明確な理由は分かりませんが、仮説として「風向きの影響で北東の湖岸にごみが漂着しやすいため」「南側の方が湖岸へのアクセスがしやすく、それに比例して清掃ボランティアの回収や人数が多くなっているため」「回収したごみを市が回収してくれるか、自主運搬しなければならないかが、地域の清掃ボランティアの回数・人数の増減に影響するため」などが考えられました。

4日間かけて、約200名で琵琶湖湖岸一周を清掃しましたが、これだけの人数が集まっても、琵琶湖の湖岸全てのごみを拾い切ることはできず、悔しい思いをしました。それと同時に、ごみをなくすためにはそもそもごみを生み出さない環境を作っていくことが、いかに重要なのかということに改めて気づくことができました。

最後に

今回の私たちの活動は、たくさんの関係者や企業の方々のご支援・ご協力のおかげで無事に行うことができました。この場をお借りして深く感謝申し上げます。
この活動を通してできたことは本当に小さなことばかりです。しかし、ごみ問題と向き合い、根本から変えていくためには、今回の活動で取り組んだことを今後も継続し、「ゼロ・ウェイスト」の理念をもっと広く発信していくしかありません。
この琵琶湖を舞台とした清掃活動から、「ごみ問題」という世界の大きな社会課題の解決に繋げていけるよう頑張って参りますので、応援のほどよろしくお願い致します。