2025年3月21日(金)、滋賀県大津合同庁舎にてマザーレイクゴールズ推進委員会主催令和6年度MLGs資金循環ワークショップ「NPOや企業との連携によるMLGsの広がり ~デジタルマップづくりとMLGs体操~」が開催されました。
当日は、特定非営利活動法人琵琶故知新が開発した「琵琶湖デジタルマップ」の紹介と取り組み報告、さらに株式会社Fast Fitness Japan(エニタイムフィットネス)による、MLGsをきっかけにした企業と行政の協働事例が紹介されました。その様子をレポートします。
開会・趣旨説明

開会にあたり、滋賀県理事員(琵琶湖政策・MLGs推進担当)の三和伸彦さんより、本ワークショップの目的が説明されました。また、MLGsを地域で実践していくには、NPOや企業との連携が重要であり、今回の活動報告を通じて、資金や人の循環を生み出す仕組みを考える機会にして欲しいと開会の挨拶を述べました。
活動報告1 琵琶湖デジタルマップについて
株式会社DIIIG(ディグ)は、ITの力を使って地域の魅力や人のつながりを見える化し、まちづくりや地域の課題解決をサポートする会社です。また、秋國寛さんが理事を務めるNPO法人琵琶故知新は、情報技術を活用した琵琶湖の環境保全活動に取り組むことを目的に設立されました。
秋國さんは、DIIIGが手がける「琵琶湖デジタルマップ(β版)」について詳しく紹介。国土交通省の琵琶湖の水位データや、県内約70カ所の直売所情報をはじめとした地域データを集め、リアルタイムで可視化する仕組みについて説明しました。
2017年、デジタル地域通貨「びわぽいんと」を通じた環境活動支援の仕組みを作った秋國さん。しかし、当時を「準備はできたけれど、資金は動かなかった」と振り返り、テクノロジーだけでは広がらない現実を痛感したと言います。
だからこそ、既に滋賀県内にあるさまざまなネットワークをデジタルで支え、人と人、人と活動をつなげることに力を入れてきたと力説。SDGsに比べ、MLGsの認知度が低い現状に対し「気づかないうちに、実はMLGsに関わっている人も多いはず。デジタルマップで見える化することで、意識や行動が変わるのでは」と今後への期待を寄せます。
Web上のデジタルマップには5000人以上の利用者がアクセスしており、今後はアプリ化も予定。イベント参加や直売所利用などの「人の動き」が可視化されることで、地域内の消費や寄付といった資金循環にもつなげたいと話しました。
「暮らし方改革」の取り組みと、デジタルマップ活用
続いて、滋賀県総合企画部 県民活動・協働推進室の橘さんから、庁内での「暮らし方改革」の取り組みと、デジタルマップ活用の具体例が紹介されました。
県職員の業務負担なく、庁内イベント情報などをマップ上に反映できる仕組みもすでに整備されつつあります。今後は県内外のNPOや団体との連携も視野に入れて、地域の情報発信力を高めていく方針が示されました。
秋國さんは、「MLGsの取り組みは、滋賀県内の多くの活動と密接につながっている。こうした取り組みの進捗を、デジタルマップを通じて目に見える形で把握できることが、県民や事業者の成長や変化を促し、それがMLGsの達成に貢献する——その仕組みを作っていきたい」と話しました。
さらに「皆さんがお持ちのデータが、緯度や経度と紐づけられるものであれば、どんな情報でもマップに反映できます。ぜひ一緒に活用しましょう」と呼びかけました。
続いて会場では、直売所の在庫データや「ビワマスが食べられるお店」のリアルタイム情報など、さらなる活用方法についても意見が飛び交い、活発な質疑応答が行われました。
活動報告2 株式会社Fast Fitness Japanの取り組み報告
続いて24時間フィットネスジム「エニタイムフィットネス」を運営する株式会社Fast Fitness Japanより、西村雄介さん・守口美遊さんが登壇。
世界30の国と地域で5000店舗を展開するFast Fitness Japan。「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」を企業理念に掲げ、誰もが健康で心豊かに暮らせる社会を目指している会社です。
現在、滋賀県内にはエニタイムフィットネスが11店舗あり、2018年からは地域と積極的に関わる「オープンフィットネス宣言」を掲げていると説明。その流れから、ミスアースジャパン滋賀に協賛したことがきっかけとなり、MLGs体操のプロジェクトにも参加。
元フリースタイルスキー・モーグル日本代表の伊藤みきさんやダンサーで振付師の鈴村英理子さんとともに、MLGs体操の制作段階から関わり、県内各地のイベントで約40回、体操を披露してきました。
西村さんは「店舗のスタッフが地域の人と直接関わることで、地域に愛される店舗づくりにつながっていく」と語ります。しかし、社内では店舗運営を優先したいという声も多く、理解を得るのは簡単ではありませんでした。
そこで西村さんはエリアマネージャーの守口さんに協力を依頼。守口さん自身、地域イベントや行政の方々と関わる中で、次第に「この活動は自分たちの店舗の信頼や認知度アップにもつながる」と実感したといいます。
「SDGsダイエット」と称したフードドライブ活動やびわ湖マラソンへの協力など、滋賀県内での取り組み事例を紹介。「美と健康」「環境保全」という2つの視点から地域とつながることで、新たな会員獲得や企業としてのイメージアップにもつながり、資金面でもプラスの循環が生まれています。
さらに滋賀県との包括連携協定締結に至ったことで「企業活動と社会貢献は両立できる」と認識が広がった経緯が紹介されました。
MLGs体操〜閉会

最後は、参加者全員で「MLGs体操」を実践。琵琶湖や自然環境をテーマとした動きを通して、MLGsの理念を楽しく体感できる体操は、地域の学校やイベントでも好評を博しています。
体操終了後は、会場のあちこちで交流を深める参加者の姿がありました。
NPOや企業が持つ強みやネットワークがMLGsを通じて結びつき、新しい資金循環や人のつながりが生まれつつあることが感じられた今回のイベント。それぞれの実践をヒントに、今後さらに多くの取り組みがつながり、持続可能な地域づくりが進んでいくことが期待されます。