マザーレイクゴールズ5〈恵み豊かな水源の森を守ろう〉をテーマにしたオンライン・トークが行われましたので、その様子をご紹介します。
今回、開催されたのは、MLGsオンライン・トークサロン「知りたい!行ってみたい!びわ湖の水源の森 自然を守るって?」です。このテーマのオンライン・トークは、昨年度につづき2回目の開催となりました。
今年度は、森づくりコーディネーターの山本綾美さん(里山実験室Haremori)にご一緒いただき、琵琶湖流域の現場で活動する3名のゲストを迎え、公募して集まってくださった26名の参加者とともにオンラインにて行われました。ちなみに、オンライン開催の良いところで、滋賀県内にとどまらず、京都府から6名、兵庫県から2名、さらに、愛知県と山梨県からもご参加いただきました。
(碧いびわ湖・根木山)
女性と山の仕事
はじめはコーディネーターの山本綾美さん(里山実験室Haremori)から話題提供がありました。綾美さんは、子どもの頃から親御さんの影響もあって山と接して育ち、入学された岐阜大学でツキノワグマの研究をされ、また山岳部員としても活動し、海外遠征までされていました。
そんな綾美さんが山と関わりつづけるために選ばれた職業が、林業専門職(公務員)でした。はじめの頃は、まだ拡大造林のための苗木が植えられていた時期だったと言います。その後、県営林の管理をしたり、木が売れるようになってくると、森林作業道オペレーター研修など技術者の指導にもあたられました。普及指導員として一般の大人の方に山の暮らしについて伝えたり、森林環境学習やまのこの指導員の指導にも従事されました。
プライべートでも、子どもが生まれてからも山に登りつづけ、「趣味も家も仕事もすべて山だった」という綾美さんにとっての一大転機は、東日本大震災でした。
「子どもたちに未来をのこすために、自分にできることを考えた」という綾美さんは、イチから自然と向き合える人を育てたいと「くぬぎの森自然遊び広場」をはじめられます。他方で地域の山を本気で守ろうと「甲賀木の駅運営委員会」にも関わり、森の整備に行政だけでなく地域の人びとが活躍できる場作りにも取り組まれます。
そんな綾美さんは、現在は公務員を退職され、自然とつながる暮らしのワークショップスペースを開設され、山と関わる人をサポートする活動を幅広く展開されています。下のリンクが綾美さんの取組に関する情報ですので、是非、チェックしてみてください。
【里山実験室HareMori】Instagram
びわ湖源流の森で感じた違和感
つづいて、高島市の朽木から清水美里さん(エーゼロ(株)高島しこぶち事業所/タネカラプロジェクト)にお話をいただきました。
大雪の降ったこの日、びわ湖源流の郷の山間の集落に住んでいる美里さんは「積雪95センチ、気温マイナス4.3度。この冬も、山に雪がやってきて、ホッとしてる」と言って話しはじめてくれました。
美里さんは、高島市安曇川町の生まれで「地域の自然をおう歌して育った」と言います。いったん県外に出て離れてみて、はじめて「ふつうのありふれた山と琵琶湖が心のよりどころだったと気づいた」という美里さん。20代後半に県外から高島に戻り、森林環境教育の仕事に従事されます。
そうした中で、びわ湖源流の森で感じた違和感が、いまの仕事や活動につながっています。
その違和感とは、森に大人の木はたくさんあるけど子どもの木がないことと、草刈りしたようなきれいさっぱりした林床。その原因は、近年、爆発的に増えているシカが下草や若い木を食べつくしてしまっているから。全国的に深刻な問題となっているそうです。
また、全国各地に木の苗木をつくっているところは多いけれど、広葉樹の取り扱いは少ないこと。滋賀県の山に植えられる、滋賀県の苗木がないことから、地域の山の木のタネから育った苗を植えたいとタネを拾いはじめたそうです。
勤務されている会社で苗木事業を手がけるとともに、昨年からは、タネカラプロジェクトを開始され、40人ほどのメンバーと一緒に、地域の山の土、落ち葉から得るたい肥で、地域の山から採取したタネを発芽させて、育苗して、地域の山に還す循環型の活動をスタートされています。
私が幼かったころ、私を受け入れてくれた山に恩返ししたい。地域の自然にかかわることは専門家だけがするのではなく、私のような素人でも、気持ちがあれば活動の場は開かれていて、たくさんの人がかかわることで大きな力になる。木を育てる視点から森づくりにかかわることは、心動かすなにかがある。今日、知り合えたみなさんとつながって、一緒に森づくりを模索していきたい、と力強く語ってくださいました。
トーク全編は動画でご覧いただけます
オンライントークは、この後、もう二人のゲストである長澤由香里さん(森林公園くつきの森やまのこ専任指導員)、村上瞳さん(竹かご教室主宰)からも貴重なお話を聞くことができました。また、参加者との質問に答えたり、コーディネーターとゲストとの意見交換もありました。
この記事では、紙面の関係で掲載できませんが、オンライントークの様子(全体)は、以下のYouTube「マザーレイクゴールズ」channelで全編公開していますので、ぜひ、ご視聴してみてください。
開催情報
MLGs オンライン・トークサロン 知りたい!行ってみたい! びわ湖の水源の森 自然を守るって?
コーディネーター・進行役:山本 綾美さん(森づくりコーディネーター/里山実験室Haremori)
ゲスト:
- 長澤 由香里さん(森林公園くつきの森やまのこ専任指導員)
- 清水 美里さん(エーゼロ㈱高島しこぶち事業所)
- 村上 瞳さん(竹かご教室主宰)
開催日:2023年1月25日(水)19:00~
ゴール:ゴール5 恵み豊かな水源の森を守ろう
主催:MLGs 推進委員会
共催:里山実験室Haremori
運営:NPO 法人碧いびわ湖
参考情報
山本綾美さん
【くぬぎの森自然遊び広場】
【甲賀木の駅運営委員会】
【里山実験室HareMori】
【山本綾美】
清水美里さん
【タネカラプロジェクト】
長澤由香里さん
村上瞳さん
※特にウエブサイトはないため、希望者は、運営者(碧いびわ湖)までご連絡ください。直接、連絡させていただきます。